旭川実業が6年ぶり4強入り 152キロ右腕・田中稜真投手「残り2試合も全部投げる」【北北海道大会】
■全国高校野球選手権北北海道大会第3日(7月15日、旭川スタルヒン球場)
▽準々決勝 士別翔雲4-6旭川実業
旭川実業が北大会4強一番乗り
旭川実業が昨夏4強の士別翔雲との接戦を制して、2020年の独自大会を除き、6年ぶりの4強進出を果たした。中1日で先発した最速152キロ右腕・田中稜真投手(3年)が、この夏最多となる4失点と苦しみながらも最後まで投げきった。22日の準決勝では北見柏陽とクラークの勝者と対戦する。
気持ちも一つギアが上がる
ピンチを迎えた田中が何度も吠えた。10奪三振も、被安打11、4失点(自責2)。疲労から終盤は球速が130キロ台まで落ちたが、最後までマウンドは譲らなかった。「本当にピンチの場面がいつも以上に多かった。 気持ちも一つギアが上がります。次は準決勝で強いところが来ると思うけど、やることを変えずに自分たちが今までやってきたことをしっかり出すだけ。全部自分が投げる」。気温30度の中、133球を投げ抜き、額に流れ落ちる大粒の汗を拭った。
135キロ計測した新球に手応え 「そこまでとは思ってなかった」
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支部予選から実戦投入した新球が冴えた。元々武器だった斜めのスライダーに加え、握りを変えたカットボール気味の縦に鋭く小さく落ちるスライダー。三回には135キロをマークした。「カウントを取る120キロ台ぐらいのスライダーがあるんですけど、決める時になったら130キロ中盤。そこまで出るとは正直思ってなかったです。カットボールに近いような感じ。ストレートに近づけて投げるっていうのが、たまたま球速表示がそうやって出ていたので、結構走ってる」と手応えも十分だ。
上のレベル目指すため妥協しない
新球の開発は、将来を見据えて。「ショートバウンドのスライダーを投げたら、きっと空振りは取れると思うけど、上を見たときにスライダーをショートバウンドで投げても、高校生にしか通用しない。それをゾーンで勝負できるから、上のレベルで通用すると思ってる。上になればなるほど、ショートバウンドの球は振らなくなってくる。ゾーンの中で勝負する感覚」。兄と同じプロ入りへ準備していくと同時に、チームを勝たせるための選択だ。
北照の左腕・高橋がライバル
身近にいる〝ライバル〟の存在にも刺激を受ける。試合前日、南北海道大会の準々決勝、北照ー函館大柏稜戦をネットでライブ観戦した。その試合で、北照はプロ注目の148キロ左腕・高橋幸佑投手(3年)が先発していた。
昨秋に対戦して劇的サヨナラ打
直接対決したのは昨秋の全道1回戦。田中が先発して延長十回を完投した。高橋は八回から2番手で登板。最後は田中が高橋から逆転の2点二塁打を放って劇的サヨナラ勝利した。「やっぱりあのピッチャーは本当にストレートが強い。そこがちょっと自分に足りないかなって、また刺激を受けた」。南北に分かれ、道内での対戦はもう実現しないが、互いに甲子園まで勝ち上がれば、最高の舞台で投げ合いが実現するかもしれない。
試合前日のカツ丼断ち
昨オフから、栄養面に注意するようになった。「なるべくタンパク質、 炭水化物を多くとって、油物をあまり取らないように。1週間前ぐらいからやって、特に前日はすごい気を付けています」。去年までは試合前日にチームメートと験担ぎにカツ丼を食べに行っていたが、今年の春からはやめた。「高校野球が終わったら好きなものは食べられるので、今は我慢」。全ては最後の夏を、最高の夏にするために。