上沢直之の連載インタビュー『うわっちのUSAレポート』vol.4 道スポ評論家・鶴岡慎也氏とのオンライン対談が実現!
日本ハム時代にバッテリー 久々の〝再会〟に大盛り上がり
昨季まで日本ハムでプレーした上沢直之投手(30)の連載『北海道から世界へ うわっちのUSAレポート』第4回は、道新スポーツ評論家・鶴岡慎也氏(43)とのオンライン対談をお届けします。今月9日にメジャー出場の前提となる40人枠から外れ、現在はレッドソックス傘下の3Aウースターに所属している。シーズン途中に帰国し、日本球界に復帰する選択肢はあったのか―。鶴岡氏が日本ハム時代、共に戦った後輩右腕の本音に迫った。
NPB復帰の選択肢は… 「それはなかったですね」
鶴岡氏(以下鶴)「おつかれさま~。きょうはよろしくお願いします」
上沢(以下上)「おつかれさまです~。よろしくお願いします!」
鶴「大変な時期にすみません。こっち(日本)ではいろんな人から『上沢はどうなの?』と聞かれるんだけど、実際どうですか? メジャー40人枠を外れた時は、日本に帰ってくる選択は全くなかった?」
上「なんか、それはなかったですね。仮にもしその選択をしたら、2度と帰ってこられない。今、苦しんでいるものがずっと続きそうな気がしました」
日本では先発一筋 難しかった中継ぎ調整
鶴「悩みはそっちで解決してから」
上「解決しないといけないなという感じはしています。今はちょっと自分の状態的には良くない(笑)。中継ぎをやることで少しずつズレていった感じです」
鶴「準備の仕方だったり」
上「日本時代に中継ぎでやったルーティンがなかったので。ブルペンで(肩を)つくれと言われて、1球目から思い切り投げるのがなかなか難しくて。適応しないと、とか言っているうちに、だんだんちょっとずつ崩れていった感じがあります。真っすぐが良くないので、他のボールもズレていく感じですかね」
やはり異なるボール メジャーと3Aでも違いが
鶴「結局、ボール(MLB公式球)はどうですか」
上「やっぱり滑りますよ。まっさらのボールが来ると結構、滑ります」
鶴「球種でいったら、何に一番、影響が出ていますか」
上「真っすぐは滑る感じがします。あと僕、メジャーに上がって思うのが、メジャーと3Aでボールが違う気がします。メジャーの方が滑らない。3Aの方が滑りますね」
5月にはついにメジャーのマウンドに立った
鶴「あー、なるほど。そういう面でも全然、違うんですね。マイナーからスタートして、5月にはメジャーで2試合投げた。感慨深かったですか」
上「やっぱり緊張しましたね。先発で見る景色と違うので。試合の途中にマウンドで行くっていうのはすごく慣れないので、緊張しましたね」
鶴「日本の時もずっと先発だった。マイナーでの生活はメンタル的にもきつい」
上「メジャー上がった後の方がきつかったですね。マイナーに落ちて、完全に中継ぎに切り替わってズレていった気がしますね」
当たり前が当たり前じゃない!? ブルペンでは球種も指示
鶴「先発やりたいとか、意志は全然、通じない?」
上「先発やりたいとかはないんですけど、日本時代にいい結果を残せたルーティンも先発のことしかなかった。遠投して試合に入るのが僕の中では、当たり前だったので。投げる球種とかも結構、言われる。これを投げられた方がもっといいとか、ブルペンでも球種を指示されたりすることが多いので」
ファイターズは当然チェック 「ミヤさんが投げているのがうれしい」
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鶴「自分が投げたいように投げられないのか。自分のことでいっぱいいっぱいだと思うけど、日本のプロ野球は見ていますか?」
上「見ますよ。日本の野球というか、ファイターズしか見ていないですけど」
鶴「なるほど。気になるプレーヤーとかいますか」
上「みんな頑張っていますね。田宮とかも頑張っているし、僕的には、ミヤさん(宮西)が投げているのうれしいですけどね」
鶴「だいぶ投球スタイルも変わって」
上「チェンジアップ投げていますもんね」
家族とは頻繁に連絡 日本ハムに復帰した鍵谷とも
鶴「8割ぐらいチェンジアップっていうイメージ。投球スタイルを変えて、新たな境地に行ってるかなという感じです。ファイターズの選手とは連絡を取り合っていますか」
上「この前、鍵(谷)さんから電話が来ましたけど、あまり僕からしないようにしています」
鶴「そうですか。家族とはこまめに取っている」
上「そうですね。奥さんとは取りますね」
鶴「みんな、どういうタイミングで連絡していいか分からないのかも」
上「全然、大丈夫ですよ。みんなが思っているほど落ち込んでいないので(笑)」
過酷なマイナー生活を実感 バス移動に7~8時間
鶴「あと単純に聞きたいのが、メジャーとマイナーの生活はやっぱり違いますか?」
上「違いますね。スタッフの数も違うので。3Aでは治療、体のケアは正直、大変です。メジャーに行ったら何人も(スタッフが)いて、日本語をしゃべれる日本人の方が2、3人いる。なので、あまり不便は感じない。ストレスとかはなかったですね。食事もいいですし、泊まるホテルもすごくきれいなところだった。試合のことだけ考えられる。3Aはトレーナーが2人しかいないので結構、体がきついですね。移動も長いですし。飛行機移動だったら楽なんですけど。バスは結構きついです。7、8時間とかかかるので、4時間は長く感じない。日本では2時間とかでもきつかったですけど(笑)」
鶴岡氏「強くなっている」 上沢「日本では恵まれていた」
鶴「ハングリーというか、強くなっている感じはしますね。いろんなことを想定して行ったと思うけれど」
上「もともとマイナー契約で行ったし。あらためて日本でやっていた野球は恵まれていたと思いますね。3Aではユニホームも、メジャーと同じものを着られない。そういった意味では日本の2軍から1軍に上がるのと、3Aからメジャーに上がるのはかなり違うっすね」
コンディションの向上が最優先課題
鶴「まだシーズンは続きます。今後のテーマはありますか」
上「とにかく自分の状態を上げることしか考えていない。それしかないです。今年だけが僕の野球人生じゃないと思うし」
鶴「その通り」
上「今年どうにかするためというか、とにかく今はやれることをやって。自分の状態を上げていって、これから先にどうつなげていくかが大事かなと思います」
人間万事塞翁が馬 「そう思って生きています(笑)」
鶴「何が成功で何が失敗とか分からないからね。野球は」
上「はい。もしかしたら、それがいい方向にハマってくれるかもしれないし」
鶴「まあもう、そう思うしかないっていうか、絶対そう。いつか生きてくる」
上「そう思って僕も今、生きています(笑)」
シーズンは後半戦へ リフレッシュし力強く再出発!
鶴「きょうはこれから移動と聞きました」
上「オールスター休みで、近くの湖の家を借りたのでそこで過ごします。バカンスというか、ぼーっとするだけ。釣りもしようかなって。ひたすら湖にいて、サウナに入ります」
鶴「いやー、なんか元気そうで良かったです。まだシーズンは続くと思うけど、けがには気を付けて。私たちは頑張ってくださいとしか言えないけど、日本に帰ってきたら飯でも行きましょう。ありがとうございました!」
上「お願いします! こちらこそありがとうございました」