《鶴岡慎也のツルのひと声》長打力のある先頭打者は厄介 私も西岡には気を使った
■パ・リーグ13回戦 楽天2ー6日本ハム(7月17日、エスコンフィールド北海道)
実際に球を受けて感じた金村の投球センス
あと1死で完投を逃した金村だが、見事な投球だった。もともとピッチャーとしてのセンスは抜群。球を受けさせてもらったことがあるが、それぞれの球種はいずれも一級品。ペース配分も身に付けてきており、力を抜いたストレートは決してコントロールミスをしない。一方で、スプリットを投じる時には、より腕を振る。
同学年バッテリーの成長を実感
加えてバッテリーとしての成長も感じた。金村と田宮。2人は同学年。これから何年も、何百試合もコンビを組む。今は2人で模索しながら勝てるパターンをつくっている最中だろう。金村の主たる球に、同じ球速帯のカットボール、スプリットがある。思い通りに投げられれば芯を外せるが、甘くなれば長打を食らうリスクがある。
サインに首を振ってカーブを選択
そんな中、金村が田宮のサインに首を振ってカーブを投げるシーンがあった。金村はしっかり考えながら投げている。田宮も勉強になっただろう。近い将来、チームにとって心強い息ピッタリのバッテリーになってくれるはずだ。
新庄監督が求めていたもの
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攻撃面では、水谷の先頭打者弾が効いた。しかも初球だ。最高の勝ち方をした前日。水谷の一発で、チームも、球場全体も「きょうもいける!」という雰囲気になった。新庄監督は〝これ〟を求めているはずだ。過去に万波を1番に置いたのも同様だ。今回、水谷がきっちりと期待に応えてくれた。
先発投手の1球目から繰り広げられる読み合い
トップバッターに長打力のある打者がいると、バッテリーは神経を使う。先発ピッチャーの1球目。バッテリーは試合前から決めているものだ。相手に長打力があり、初球から振ってくると予想するなら、フォークなど、決め球から入る。それで見逃されたなら、読み負けた気持ちになる。逆に空振りを取れたら、「よっしゃー」と。そして2球目に真っすぐを通しやすくなる。
ベッツに大谷翔平 変化する野球のセオリー
私も現役時代、そういう打者には気を使った。思い出すのがロッテの西岡。いつも初球は注意深く入っていた。今の野球界は、以前よりも強打者をトップに置く傾向にある。米大リーグを見てもそう。ドジャースのムーキー・ベッツしかり、大谷翔平しかり。スーパースターがいきなり打席に入るのは珍しくない。野球のセオリーが変化してきている。バッテリーは、より神経をすり減らす。水谷の1番。これからも続いていく可能性は大きい。