立命館慶祥〝最弱世代〟が創部初の甲子園へ王手 徳永主将が指揮官と交わした約束とは【南北海道大会準決勝】
■全国高校野球選手権南北海道大会第5日(7月20日、エスコンフィールド北海道)
▽準決勝 立命館慶祥6-3札幌光星
徳永主将が同点の適時二塁打
夏秋通じて初の4強入りを果たした立命館慶祥が、6-3で札幌光星を下し、初の頂点へ王手をかけた。1点ビハインドの四回に、9番・徳永漣主将(3年)が、左翼線深くへ運ぶ適時二塁打で一時同点に追い付き、終盤の逆転劇につなげた。昨秋、支部1回戦で大敗し〝最弱世代〟とレッテルを貼られてから10カ月。どん底からはい上がり、ついに甲子園へあと1勝までたどり着いた。昨秋の新チーム発足時、滝本圭史監督(43)と徳永主将の間で交わされたある約束があった。
元チームメートのエース粕谷から
元チームメートを打ち砕き、決勝に駒を進めた。徳永主将は、札幌光星のエース粕谷脩真投手(3年)とは中学硬式の北広島リトルシニア時代のチームメート。夏の大会が始まる前、「お互いに頑張ろうね」と激励し合っていたが、最高の舞台で対戦が実現した。
14日の準々決勝は無安打に終わっていた徳永だったが、四回2死一、二塁の同点機では初球の内角高めに抜けた直球をフルスイング。「予選から自分のバットでは、あまり貢献できてなかった。みんなに助けられていた部分もあったので、劣勢な場面だったけど、まずは自分のバットで試合を振り出しに戻すというか、どうにかしたかった」。この試合両チーム合わせて唯一の長打が、貴重な同点打となってチームに勢いをもたらした。
球友の思いも背負って決勝へ
試合後の整列が終わると、粕谷と握手を交わした徳永。粕谷から「最後まで頑張って甲子園に行ってね」と声を掛けられ、「みんなの分まで頑張って甲子園に行くから。ありがとう」と返した。かつての球友の思いも背負い、21日の決勝に挑む。
指揮官が提案したチーム「まとめようとする」ことより大事なこと
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主将の苦悩は計り知れない。新チーム発足時、徳永主将は、監督に復帰した滝本監督から「キャプテンとして最後まで笑って、自分がどんな状況であろうと、チームがどんな状況であろうと、最後まで笑って、みんなに影響を与えてくれ」と、チーム改革を託された。指揮官は「『まとめようとしないで、一緒に笑ってやろう』って。監督とキャプテンが笑ってやってれば、みんな楽しく野球できるんじゃないかと。辛くても笑ってくれっていうのを約束に、ここまでやって来てくれてます」と、真意を明かした。
昨秋の大敗から長い冬乗り越えて
昨秋の初戦は北海道文教大附に1-7で大敗。直前の南北海道大会では、先輩が8強入りして準々決勝では優勝した北海に2-3と接戦を演じた。新チームも練習試合での結果は上々で手応えはあっただけに、初戦敗戦のショックは大きかった。「本当に悔しい思いを持って長い冬を乗り越えてきた。雑草魂じゃないですけど、本当に底辺から始まった」。個性派集団をまとめるため、週に一度の定例ミーティングを繰り返した。
今春は代決で札幌大谷に惜敗
ところが今春も支部代表決定戦まで進出しながら札幌大谷に惜敗。「なんとか最後の夏にかけるしかない。焦りとか不安な部分もあったけど、自分たちのやってきたことをしっかり自信を持ってやるしかない。そこはもう迷わずに」。崖っぷちまで追い詰められ、もうやるしかなかった。
決勝も笑顔で道開く
創部以来、悲願の甲子園へマジック1。「夏に決勝まで来られて、あと1勝。もう一気に甲子園まで突き進みたい。自分が笑っていれば、みんながどうにかしてくれる信頼はある」。歴代最強世代へ、下克上を成し遂げる準備はできた。