札幌日大高がエース小熊の完封劇で3年ぶり決勝進出 夏秋決勝5戦5敗という負の連鎖断ち切る【南北海道大会準決勝】
■全国高校野球選手権南北海道大会第5日(7月20日、エスコンフィールド北海道)
▽準決勝 北照0-1札幌日大高
九回まで投げての完封は初
札幌日大高のエース左腕・小熊梓龍投手(3年)が北照打線を被安打4、9奪三振で九回まで投げた公式戦では初の完封劇。女房役の6番・高橋諒太捕手(3年)が、六回2死三塁から値千金の決勝中前打を放つと、守備でも3つの補殺で小熊投手を強力援護。少ないチャンスをものにした札幌日大高が1-0で北照を下して3年ぶりの決勝進出を果たした。
最後の空振り三振でガッツポーズ
1点リードの九回、小熊は2死一、三塁の大ピンチをスライダーで空振り三振に打ち取ると、左手で大きく2度、ガッツポーズを繰り出した。普段はポーカーフェイスが信条だが「序盤から苦しくて、思うように試合を運べていなかったので、感情が出た」。北照の148キロ左腕・高橋幸佑投手(3年)とのプロ注目対決を制して、甲子園ロード最後の関門へと向かう切符をつかんだ。
指揮官も「ひと皮むけてくれた」
見ていて全く心配していなかった。森本琢朗監督(43)は「小熊が本当に良い投球をしてくれた。きょう覚醒してほしいなと、本当に思った。そんな雰囲気もあって、勝つなら1-0か2-1だなと思って送り出したけど、まさにそのピッチングをしてくれた。本当にひと皮むけてくれた」。最後まで継投は考えなかった。
大切にしてきた「困ったら塁上死」 体現した選手がヒーローに
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新チームから大切にしてきたのが「困ったら塁上死」。あまり聞き慣れない言葉だが、指揮官によると「アウトを探す。バッターでアウトを取らなくても、ランナーで取れるところは狙う」ことだという。
高橋捕手が3度ピンチの芽を摘む
それを体現したのが高橋捕手だ。二回は1死から四球で走者を許したところを一塁でけん制死。さらに四回にも先頭に安打を許したが、次打者の1球目で再びけん制死。六回には2死から四球で出塁した走者を二塁で盗塁死。何度もピンチの芽を摘んだ。「練習試合でも、少しでも(走者の)リードが大きかったら狙ってきた。アウトにしたらビッグプレーなので、自信を持って投げられるぐらい練習してきた」と胸を張った。指揮官も「大きかった。チームを救ってくれた」と目を細めた。
均衡を破った決勝打も高橋
するとその裏、今度は高橋のバットがゼロ行進の緊迫した投手戦の均衡を破った。4番・窪田洋祐中堅手(2年)の内野安打と盗塁などで2死三塁に好機を広げると、高橋がカウント1-2から4球目の高めのスライダーを中前へはじき返す先制適時打。「仲間がつくってくれたチャンスだったので、投手戦ではあったので、どんなヒットでも良かったので、絶対に1点取りたい気持ちで打席に入りました」。一塁に到達すると、塁上で思わず両手ガッツポーズを繰り出した。
甲子園まで足りなかった何かを
銀メダルはもう要らない。2006年7月に森本監督が就任後、夏と秋は決勝に5度進出するも5連敗。「今までやってきたことをしっかりやるだけ。舞台が変わってもずっと一戦一戦、どんな試合でも、どんな状況でも自分たちのやることをやろう。そこはもう持ち続けて戦いたい」。届かなかった頂点を、足りなかった「何か」を、今度こそ見つけだす。