《浦和戦後》勝利という薬を飲むことが大事な処方箋 飲み続けることで残留という健康を取り戻せる
■J1第24節 浦和3-4札幌(7月20日、埼玉スタジアム2002)
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―試合を振り返って
70分までは札幌の素晴らしい戦いができていた。ただ、残りの20分にスポットを当てて評価する方もいるのではないかと思う。我々にとってその20分は非常に厳しい時間帯となったが、そのことで我々の良かった70分が台無しになったわけではない。
やはり70分まで我々は相手を明らかに上回れているゲームができていたし、非常に予算のかかっている相手に対して地方クラブである我々が素晴らしい戦いを見せていた。
札幌は今シーズン最下位に沈んでいるが、それは昨年から5人の重要な選手が移籍していった、そしてケガ人がここまで多いという状況の中で進んできて、一時期はレギュラーの選手が9人ぐらいいない中で、90分戦える選手が5人ぐらいしかいない状況の中で戦ってきた。きょうもケガ人が戻って来たが、やはりまだまだ、もちろんコンディションの面では上がっていないという中で、自分たちが厳しい20分になったのは間違いない。
浦和サイドからすれば、4点差の展開から1点1点、得点を返して最後に際どい形で3-4で敗れたという評価の仕方もあると思うし、見方もあると思うし、次の試合に向けて前向きに捉えられる見方もあるかとは思う。
今の交代ルールの中では予算規模が大きいチームの方が有利なのは間違いない。そういう中で我々札幌が今シーズン厳しい戦いを強いられているのは、そういった部分もあると思うし、ケガ人のこともあるし、その中でようやく一つ勝てたというのは我々にとって次につながっていく勝利だったと捉えている。
素晴らしい埼玉スタジアムで非常に素晴らしいサポーターの前で我々札幌が素晴らしいゲームができたこと、3ポイント取れて久しぶりの勝利できたことを非常に嬉しく思っている。
我々はここまで12ポイントしか取れていない最下位のチーム。多くの人たちはもう札幌は残留できない、まあ本当に、死んだチームだと思われてるかもしれないが、我々は本当に可能性がある限り戦っていきたいと思っているし、その可能性に懸けて、また次からみんなで戦っていきたいと思っている。
―ここまで苦しんできた鈴木の評価と使い続けた監督の思いは
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過去に長崎から札幌に移籍してきて、我々のチームで成長して、ベルギーに移籍する前はおそらく10節か11節くらい戦った中で、その時点の得点王だったと思うが、ベルギーではなかなか試合に出ることができず、そして日本に帰って来てガンバ大阪でも試合に出ることができずにいた。
やはりなかなか試合に出てなかった時期が長かっただけに、元の彼の状態に戻るには時間がかかると思っていた。今年に関してはやはりキャンプ中にケガの影響もあって、ろくなトレーニングもできずにシーズンをスタートさせて、途中でケガもあったりしながらここまで来たと思う。
選手が本来の自分の力を出せる状態まで戻すには、試合に出てなかった時期が長ければ長いほど難しくなるし、私も我慢が必要だと思っている。そういうふうに彼を見ていたし、我慢して起用していくことで、少しずつ彼の状態が戻ってくるんじゃないかなと思っていた。
このまま彼がリーグ戦で得点を重ねていくことになれば、もしかしたら来年はまたいないかもしれない。札幌はなかなか予算をかけて出来上がったFWの選手を獲ることはできないので、大学卒の選手を獲得して、育ててはまた売られていくというサイクルで回っている。
―最初の70分に4点挙げたことと残り20分ではどのような采配だったか
チームがこういう状況に入ると一つの勝利を挙げるのがいかに難しいのかということは私自身も長い監督キャリアの中でよく分かっている。神戸戦も素晴らしい戦いを見せた。ただ、素晴らしい戦いを見せた中でも、それでも勝利できない。それ以外のシーズンの試合を見ていても素晴らしい戦いをしながら勝利できない。
今日もそういう試合だったが、勝てたというのは我々にとって非常に重要な勝利だったと思う。何週間か前に私は会見で言った。我々がいま非常に難しい〝病気〟にかかっているという表現をした。
コロナが流行り始めた時期というのは、まだワクチンもなかったと思うが、我々の病気に対しては、効く〝薬〟というのは一つしかない。それは何かと言えば勝利だ。勝利という薬を持つことで我々は非常に難しい病気から立ち直っていく。それでしかない。今の状況を変えていくには勝利を重ねること、薬を飲み続けることで我々は残留という〝健康〟を取り戻せる。
非常に我々にとって厳しい状況にまだまだあるが、一つ一つの試合で勝っていくこと、勝利という薬を飲んでいくことが我々にとって大事な〝処方箋〟であり、病気から立ち直っていくために必要なことだ。
今日の浦和との試合で札幌が勝利したというのは、長い歴史をみても歴史的な勝利と言ってもいいかもしれない。過去の試合の統計を見ても、札幌がホームの浦和に勝利することは、なかなかないことであることは間違いない。
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