柔道男子60キロ級 永山竜樹が「気力で取った」銅メダル 【パリ五輪】
敗者復活戦から3位決定戦制す
【パリ共同】パリ五輪第2日の27日、競技が本格的に始まった。柔道の男子60キロ級の永山竜樹(28)=SBC湘南美容クリニック、美唄峰延小出=は、敗者復活戦から進んだ3位決定戦を制して銅メダルを獲得した。
準々決勝で不可解判定に泣く
表彰台で柔道男子60キロ級の永山は硬い表情のまま、日の丸を見上げた。28歳で挑んだ初の五輪は準々決勝で不可解な判定に泣き、金メダルは夢と消えた。「気力で取った」という銅メダルを静かに見つめた。
ガリゴスとの準々決勝は立ち技で攻めあぐね、寝技に引き込まれた。絞め技をこらえ、主審の「待て」に力を抜いたが、相手の絞めは緩むことなく、意識を失った。一本負けの宣告に「何が起きたのか分からなかった」。畳を下りず抗議したが、判定は覆らなかった。
「何が起きたのか分からなかった」
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内股と返し技の一本勝ち
崩れそうな心を支えてくれたのは日本から駆け付けた家族の顔だった。「手ぶらで帰らせるわけにいかない」と奮起。156センチと小柄ながら豪快な柔道が持ち味で、敗者復活戦から取り戻した。3位決定戦は内股と返し技の合わせ技で一本勝ち。1週間ほど前に右脚を肉離れしたが、言い訳せず、勝って畳を下りた。
代表争った高藤「胸を張って」とエール
東海大の3年先輩で東京五輪王者の高藤直寿(パーク24)と競り合って代表切符をつかんだ。現地で見届けた高藤は「胸を張ってほしい。お手本になるようにメダリストとして振る舞ってほしい」とエールを送る。永山は「悔しいだけでなく、この経験を次に生かす」と力を込めた。パリでの心残りを4年後の糧にする。
永山は目標の金メダル獲得を果たせず、無念さをにじませた。一問一答は次のとおり
―試合を終えて。
「金メダルを目指してきたので悔しい気持ち。応援してくれる方々のために、必ず銅メダルを取ろうと思って闘った」
―準々決勝は不可解な判定で一本負け。
「首を絞められているところに指を入れ、踏ん張っていた。『待て』がかかって、力を抜いたところにしっかり(相手の技が)入ってしまった。そこからは記憶がない」
―消化不良では。
「結果が出てしまったので考えても仕方がない。自分の隙が生んだ負けだと思うので、今後の教訓にして、また成長したい」
―五輪の難しさは。
「失敗できないという気持ちが強いのでオーバーワークや、いろんなアクシデントもあった。それもひっくるめて五輪。この経験が今後も生きると思う」
―3位決定戦は本来の攻める柔道。
「最後は自分らしい一本を取りにいく柔道をしようと思って畳に上がった。悔いのないように思い切り闘おうと考えた」