《岩本勉のガン流F論》あのブーマーを抑えたんやで~!
■パ・リーグ14回戦 日本ハム4ー6ソフトバンク(8月2日、みずほペイペイスタジアム)
工夫を欠いたバッテリー 結果は明白
同じバッターに2度も一発を食らう。バッテリーに工夫がないと言わざるを得ない。加えて加藤貴は良くも悪くもいつもの加藤貴だった。もう1000回以上投げているピッチャー。相手の頭にもデータは揃っている。ハッと驚く次のステップがなければ、打者に怖さを植え付けることはできない。ボールも少し高めに浮いていた。となれば結果は明らかだ。
わざわざ荒れ球を投げられる加藤貴
打たれ出したら止まらない。伏見はボール球のサインをつくるべきだ。コントロールが良いのはいい。だが、このままでは視野の狭い投球に終始してしまうし、相手バッターもガンガン踏み込んでくる。一方のスチュワートは適度に荒れていた。加藤貴はわざわざ荒れ球をつくれるピッチャーだ。私も現役時代の1999年、わざわざ荒れ球を投げ、シーズンのキャリアハイとなる99四死球を記録した。と同時に自己最多13勝を挙げることができた。伏見と加藤貴のバッテリーよ、よく考えてもらいたい。
おいしいマウンドをおいしく味わえなかった
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
プロ3年目の柳川にも言いたい。この経験を無駄にするなよ! 2番手で五回から2イニングを投げた。五回は無失点に抑えたものの、六回は自らの2暴投もあって1失点した。無失点の五回もボールは若干、暴れていた。3点ビハインドで巡ってきたマウンド。負け星がつく可能性はかなり低い。一方で、いい投球をすれば、打線の1チャンス、2チャンスで勝ち星が転がり込んでくることもある。おいしいマウンドだったが、おいしく味わえなかった。
初勝利よりも印象に残る大石大二郎との対戦
ただ、荒削りではあるが、楽しみな存在だ。この点差で、しかも相手は首位のソフトバンク。首脳陣の期待がうかがえる。私も高卒2年目の1991年にリリーフで5試合に登板(計9回で自責点2の防御率2.00)した。近鉄戦に登板し、打席に大石大二郎さんを迎えた時は興奮した。「大石やぁ~!」と。関西出身の私にとっては、憧れの選手の一人。初勝利を飾った時よりも印象に残っている。
目をつぶってブーマーにストレート
阪急のブーマーとの初対戦も鮮明に覚えている。カウント2―0から目をつぶって投げたストレート。完璧に打ち返された。ライト前や!と思った瞬間、打球はグングン伸びて右直となった。完全にラッキー。それでも正月、実家に帰って家族や親戚に自慢したっけ。「あのブーマーを抑えたんやで~!」って。
柳川よ、野球ノートに刻み込め!
あの91年の5試合があったからこそ、その後の2軍生活を頑張れた。しっかりと1軍をイメージしながら練習できたからだ。柳川も、一つ一つのシーンを覚え、自分の中の野球ノートに刻み込んでもらいたい。この経験を生かさない手はない!