札幌日大高の帯川拳誓遊撃手 あと一歩で甲子園逃してきた親族一同の「もうおまえしかいない」に発奮
開会式リハ後に京都府内で練習
8月7日に開幕する全国高校野球選手権に初出場する札幌日大高は6日、甲子園での開会式リハーサルの後、午後から京都府内の球場で実戦形式のノックや打撃練習を行った。初優勝した南北海道大会では、4試合無失策の堅守を武器に頂点に上り詰めた。帯川拳誓遊撃手(2年)は中学硬式の札幌新琴似リトルシニア時代に主要大会への出場はなかったが、チームは全国3位に2度輝いた。その経験を生かし、内野手ではただ一人の2年生として堅守を支えている。
一族の最終兵器
帯川一族の〝最終兵器〟が、ついに甲子園出場の悲願をかなえた。「ずっと言われてたんで、お父さん、おじさんに。『もうおまえしかいないから(甲子園に)行ってくれって』。だったら、やっぱ行くしかないな」と努力を重ね、悲願を達成した。ただ、野球一家の帯川家の中で秀でた才能があったわけではない。
いとこは全員甲子園に行けず
帯川自身は一人っ子だが、いとこには札幌国際情報で2019年南北海道準優勝の帯川瑠生投手(22、北海学園大出)、その弟で、コロナ禍で独自大会となった20年南北海道大会で優勝した札幌第一の帯川翔宇投手(法政大3年)。北海学園大の帯川大和投手(3年、士別翔雲)と白府海音内野手(3年、札幌創成)もいとこ。「(19年決勝の)北照戦は見に行ってたけど、札幌第一の時はコロナがあったんで。翔宇に憧れて新琴似に入りました」。2人のいとこからは、おじを通じて、お祝いのメッセージが届いたという。
全国の経験がチームの力に 監督から「アドバンテージ生かして」
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中学時代、全国常連の札幌新琴似では壁にぶつかった。帯川の代は、日本選手権と中学硬式団体統一戦のジャイアンツカップの両方で準決勝まで勝ち進んだ。帯川の出番はなかったが、ベンチメンバーとして全国3位を経験した。札幌日大高では1年秋に背番号4でベンチ入り。森本琢朗監督(43)からは「全国を経験してる人が少ないので、その中で自分がベンチではあるけど全国大会を2回経験してるのは大きなアドバンテージにもなるし、そういうのを生かしてほしい」と言われた。「自分が経験値としては高い部分もあるのかなと。それを生かして全国大会での雰囲気っていうのをみんなに伝えていければ」。まだ2年生だが、大舞台の経験はチームの大きな力になる。
札幌新琴似出身者は6人が出場も
雑草魂だ。この夏の甲子園に出場する学校の中で、札幌新琴似出身者がベンチ入りしているのは札幌日大高、健大高崎、日本航空山梨、京都国際の4校で、2、3年生を合わせて6人いる。だが、当時レギュラーで出場していたのは、今春のセンバツ甲子園で優勝した健大高崎の加藤大成内野手(2年)のみで、あとの5人は控え選手だった。大会前、札幌新琴似の生嶋宏治監督(63)は「うちで試合に出られなかった選手が、こんなに成長して甲子園に出場してくれるのは最高にうれしいですね」と話していた。帯川自身も「新琴似でやっていたから、ここまで来られた」とうなづいた。
守備でリズムをつくって
守備が持ち味で、打順は9番だが、春の札幌支部大会ではセンバツ甲子園帰りの北海から本塁打も放っている。「新琴似で培ったパンチ力とかミート力を今、生かせている。守備でリズムをつくって、自分のバッティングを生かせればハマるんじゃないか」。野球一家の〝末っ子〟が、帯川の名前を聖地に刻む。