京都国際の道産子カルテットが地元校との対決となった札幌日大高戦へ意欲【夏の甲子園】
今春の近畿王者
第106回全国高校野球選手権1回戦で南北海道代表の札幌日大高と対戦する今春の近畿王者・京都国際には、4人の道産子がベンチ入りしている。1年秋から主力として活躍する沢田遥斗中堅手(3年)と高岸栄太郎一塁手(3年)の2人は、中学硬式の北広島リトルシニア出身。服部颯舞内野手(3年)は小学4年生まで少年野球の千歳・向陽台ヒーローズ、尾角凌内野手(2年)は札幌新琴似リトルシニア出身だ。
高岸は札幌日大高の小熊とFsジュニア同期 父は選抜4強メンバー
高岸の父・智治さんは駒大岩見沢が1993年センバツ4強入りした時のメンバー。高岸は少年野球の千歳ガッツでは父と同じ投手。6年時にファイターズジュニアに選出され、札幌日大高の小熊梓龍投手(3年)や、明徳義塾の高橋龍成内野手(3年)、花咲徳栄の斎藤聖斗内野手(3年)らと日本一を目指した。
中学では不完全燃焼も京都で飛躍
しかし中学1年時に、利き腕の右肘離断性骨軟骨炎を発症。手術を経て復帰したが不完全燃焼の中学時代だった。「小学生の時から関西で野球をやりたくて、甲子園を直接見に行っていて、智弁和歌山とか大阪桐蔭とか強豪校と試合をしてみたかった。グーグルで調べてプロ輩出もしていたので、甲子園にも出場していて、そこで決めました」と、地元を離れて京都で成長を遂げた。京都大会では、主に「6番・一塁」で、準々決勝の西城陽戦では4番を務めるなど5試合で打率.333をマークしている。
帰省中に会った小熊の体格に驚き 「負けたくない気持ちが強い」
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札幌日大高の小熊梓龍投手(3年)とのファイターズジュニア対決について「元々小学校から知っていた。最初はやりたい気持ちがあったけど、打席に立ったら打ちたいので、そこは負けたくないという気持ちが強いです。冬に帰省があって、その時、ファイターズジュニアの集まりがあって、小熊と毎年会っています。一年前より体つきが良くなってびっくりしました。僕よりでかくなっていた」と警戒する。
俊足・沢田は予選で打率.348
沢田は50メートル6秒フラットの俊足を生かして準々決勝までは1番を任され、初戦の京都成章戦では五回に先制打を放つなどリードオフマンとして活躍。準決勝と決勝は3番に抜擢され、6試合にフル出場して打率は.348をマークした。「自分も元々道外に出たいという思いがあった。甲子園上位層が関西の学校。そういうのもあって関西でやりたかった。高岸も行くと聞いて心強かったので決めました」と2人で切磋琢磨してきた。札幌日大高戦には「地元なので勝ったら勝ったで帰りにくい(笑)」と冗談めかしたが、試合ではもちろん勝負に徹するつもりだ。
服部はケガを乗り越え打撃で活躍
服部は、高岸と同じ千歳市の少年野球チーム出身。京都国際では1年秋から右翼のレギュラーを獲得。背番号3で迎えた2年秋、パンチ力を武器に近畿大会では「6番・一塁」で出場したが、準決勝の大阪桐蔭戦で走塁時に右膝前十字靱帯を断裂。センバツ甲子園では、近畿大会まで左翼を務めていた高岸が一塁に入った。服部はケガを乗り越え、この夏は背番号「13」でベンチ入りすると、京都大会3回戦の洛水戦で8カ月ぶりに公式戦に出場。4回戦では「4番・一塁」で先発出場した。
沢田とは互いに認め合う存在
準決勝の龍谷大平安戦では、代打で適時打を放つなど勝負強さも見せつけた。チーム内の推し選手に「不調な時がないし、常に活躍している」と同郷の沢田の名前を挙げれば、沢田も「大ケガをしても人一倍練習をして、諦めずに夏の大会に帰ってきた」と互いに認め合いながら定位置を争うライバルであり、心強いチームメートでもある。
尾角は先輩に憧れて京都国際へ
尾角は、札幌新琴似時代は日本選手権とジャイアンツカップで2度の全国3位を経験。当時の京都国際には、札幌新琴似の2学年先輩である小林春輝内野手が所属していた。22年夏の甲子園でプレーする姿をテレビで見て、「小林さんへの憧れもあって。京都国際は守備が堅くて打撃もある。自分は守備が得意。雪がなくて一年中、野球ができる。甲子園で日本一になりたい」と進学を決断。昨秋からベンチ入りした。
2年生一塁コーチャーとして出場
札幌日大高の帯川拳誓遊撃手(2年)とは中学時代のチームメートで、「甲子園出場が決まった時に『おめでとう』と言ったら、『甲子園で戦おう』と。初戦で当たるとは思わなかった」。初の甲子園対決で自身は一塁コーチャーとして出場予定だ。野球の神様に導かれるように決まった対戦。互いに成長したところを出し尽くし、自分たちの勝利を目指す。