■全国高校野球選手権第３日（８月９日、阪神甲子園球場）
▽１回戦　新潟産大附２ー１花咲徳栄

　花咲徳栄の道産子・斎藤聖斗内野手（３年）が「１番・二塁」で４打数１安打。リードオフマンとしてチームをけん引したが、６年ぶりの甲子園勝利には届かなかった。１回戦を突破すれば、ファイターズジュニアで一緒に戦った京都国際・高岸栄太郎（３年）との対戦が実現するはずだったが、叶わなかった。

「やっぱり甲子園の初戦ってむずい」

　誰よりもユニホームを泥だらけにしながら最後まで勝利を信じて戦い抜いたが、新潟産大付の勢いにあと一歩及ばなかった。「昨日のミーティングで、いつも通りのプレーをしよう、と言われた。そういう中でいつも通りのプレーができず、やっぱり甲子園の初戦ってむずいなと思いました」。我慢していた涙が、頬を伝った。

　２打席凡退で迎えた同点の五回２死一塁。１ボールから三遊間へきれいに流し打ち、甲子園初安打をマーク。一走もスタートを切っていたため、２死一、三塁と勝ち越しの絶好機。次の打者が１ボールからの２球目にランエンドヒットのサインでスタートを切ったが、惜しくも二塁憤死でチェンジ。直後の六回に逆に勝ち越しを許し、これが決勝点になった。「（花咲徳栄に）入ってきた時から『塁進』は流れが変わる、と言われて、その通り自分のミスで、次の回の相手の攻撃で点数を許してしまって、責任を感じています」とうつむいた。

兄の優斗さんは北照２年時に甲子園出場

　斎藤の兄の優斗さんは、北照２年時の２０１９年に夏の甲子園へ出場。３年時はコロナで甲子園大会は無念の中止。斎藤は小学６年時にファイターズジュニアに選出。小樽リトルシニアから「高校は北海道を離れて道外でプレーをしたい」と、埼玉の強豪の門を叩いた。２年秋からベンチ入りすると、チーム最小兵の１６７センチながら今夏の埼玉県大会では本塁打を２本放つなど、不動の１番を務めた。「高岸選手から『自分も戦いたいから、頑張って勝ってこい』って言われて、それでも勝てなくて悔しい」と元チームメートのエールに応えることはできなかった。

「みんなに甲子園に連れてきてもらった」

　ただ３年間、地元北海道を離れて野球に打ち込んだことに後悔はない。「覚悟してきたが、うまくいかない部分が多かった。その中でも自分の代で、みんなに甲子園に連れてきてもらったので、すごくみんなに感謝してます。こういう大舞台で思ったようなプレーが全部出しきれなかったので、そのことを忘れず、大学でもやっていきたい」。初めて踏んだ甲子園の土の感触、アルプスからの大声援、全てを脳裏に焼き付け、次のステージに進む。

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