小学校卒業後に北海道を離れた3人の道産子が明徳義塾で夢の実現へ【夏の甲子園】
12日の2回戦で鳥取城北と対戦
全国高校野球選手権に2年ぶり23度目出場の明徳義塾(高知)でメンバー入りを果たした札幌出身の高橋龍成三塁手(3年)ら3人の道産子がいる。それぞれ明徳義塾中から入学し、全国中学では3位に輝いたが、高校から入学してくる他県の選手らと激しい競争を勝ち抜き、背番号を手にした。12日の2回戦から登場し、6年ぶり出場の鳥取城北と対戦する。
メンバー外含め道産子5人が在籍
中等部出身でメンバー入りしたのは3人。全員道産子だ。甲子園春夏通算54勝の馬淵史郎監督(68)が「ベンチ入りする力はあった」という山崎安理内野手(3年)は右肘骨折の影響でベンチ外。チームに帯同している釧路市出身の内海敬翔投手(はやと、1年)を含め、明徳義塾中出身の道産子が5人在籍している。
勝利のために試行錯誤する高橋
9日に伊丹市内で行った練習では、130キロ台に設定した打撃マシンを相手に何度も左中間深くにはじき返していたのが高橋だ。ほぼミスショットなく簡単に内野の頭を越えていたが、「全然普通です。自分の中で打席の位置を変えて、外角の球に設定したり、内角の球に設定したりしてやっている」。2年ぶりの甲子園に高ぶりはない。「うれしかったのは(県大会を)優勝した時で終わってる。今は甲子園で1勝1勝、勝っていくためにどうするかを考えながらやっています」。臨戦態勢は整った。
県大会では不調だったが、根室市出身の藤森が台頭
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県大会では打率.143と調子を落とした。「何か分からないです。あの時は。初戦で足がつってからおかしくなった」。初戦の土佐戦に3番で先発出場したが三回で途中交代。2日後の2回戦では復帰したが、準決勝では根室市出身の藤森海斗右翼手(2年)が6番から3番に昇格して2安打3打点。決勝でも藤森が3番で4打点の活躍だった。「自分が打たなくても、藤森が打つんで(笑)」とうそぶいたが、ここにきて調子は上昇している。
ファイターズジュニアにも選出
少年野球の札幌・東ハリケーン時代にファイターズジュニアに選出されたが、3、4年時に右肘を痛め、中学は肘への負担が少ない軟式を選択。全国大会上位常連の明徳義塾中の門を叩いた。
反射神経は人よりいい
中学では投手、三塁手、一塁手と三刀流の活躍で、全国中学で3位。現在は三塁手1本に絞っている。「飛び抜けたことがあるのかは分からないですけど、いろんなことを平均的にできる。反射神経っていうか、反応力は人より高いかな。なのでサードで強い打球が来た時に反応できている。準決勝の時の三塁線の当たりも。反応力はいい」と胸を張った。
藤森は県大会7打点でチームトップ
2年生の藤森は根室市出身。父の塁さん(45)は砂川北、JR北海道でプレーした。藤森は1つ上の高橋の代から試合に出て、2年連続全国中学で3位。高校では2年春から捕手で出場も「里山(楓馬、1年)が来て、そこから外野に」。この夏から強肩を生かして本格的に右翼に転向。県大会では2試合連続途中出場だったが、準決勝で高橋から3番の座を奪って主軸に定着。4試合で7打点とチームトップをマークした。
3年生を盛り立てる
「打撃には自信はあります。自分の持ち味はファーストストライクから積極的に打つこと」。同じ道産子の先輩である高橋については「優しいです」。もう1人ベンチ入りしている、札幌出身で東16丁目フリッパーズで全国8強入りした、背番号20の平井麗朱投手(2年)と「3年生を盛り立てようと2年の間ではしゃべってます」と藤森が話すと、間髪入れずに高橋が「聞いたことないわ(笑)」と、仲の良さを見せつけた。
目の前の試合に勝ってベスト8で
高橋と、ベンチに入れなかった山崎はファイターズジュニア出身。開会式とリハーサルでOB3人と再会した。残っているのは京都国際の高岸栄太郎一塁手(3年)だけ。「ベスト8に行かないと会えないので、もう一回、再抽選で当たれることを願ってます」。
そのためには、負けるわけにはいかない。「一つ一つ勝っていかないと。最初から優勝狙うって言って決勝だけ見ててもダメ。今ある目の前、目の前の試合を勝つことだけ」。対戦の思いは心の中に封印。チームの勝利を最優先に、バットに思いを乗せる。