野村佑希 押し出し死球で決勝点 痛みに耐えて執念のガッツポーズ
■パ・リーグ15回戦 西武1ー5日本ハム(8月10日、エスコンフィールド北海道)
同点の七回1死満塁で殊勲の死球
日本ハムの野村佑希内野手(24)が10日、エスコンフィールド北海道で行われた西武戦の七回に体を張って決勝点をもぎ取った。
同点の1死満塁で代打出場すると、西武・今井達也投手(26)の153キロ直球を左脇腹に受けた。もん絶しながらも一塁ベンチに向かってガッツポーズ。痛みと引き換えに大きな1勝を呼び込んだ。
価値ある打点1 「なんでも良かった。1点さえ取れれば」
悲鳴が上がった。コントロールを乱した今井の剛球が、野村の脇腹を直撃した。その場に倒れ込んだが、すぐに立ち上がり、歯を食いしばって一塁へ駆けだした。
「満塁だったので、なんでも良かった。1点さえ取れれば」。左手で脇腹を抑えながら、ベンチに向かって右拳を突き上げ、勝ち越しをアピール。なりふり構わず、チームをもり立てた。
名誉の負傷も大事に至らず安堵
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代走の田宮と交代し、ベンチに下がって患部の状態を確認した。大事には至らなかったようで、試合後は「肉に当たった感じ。おなかを殴られた感覚でした。骨とかは大丈夫です」と穏やかな表情で症状に触れた。
ユーモアあふれる一丁締め ファンも大盛り上がり
4連勝を決め、恒例の一丁締めでマイクを握ったのは野村だった。
「なかなかみんな打たないので、体を張って1点を取ってきました」とユーモアたっぷりにスピーチ。ファンの大歓声を浴び「(あいさつの言葉は)とっさに出ました。奈良間みたいにふざけたことを言えないので」と照れくさそうに笑った。
まだまだ本領発揮にはほど遠い若きスラッガー
今季、開幕戦は「5番・三塁」で出場した。しかし、10試合を消化したところで成績不振により、2軍落ち。その後、1軍に再昇格しても打撃の状態は一進一退。ここまで50試合に出場し、打率.222の2本塁打にとどまっている。ベンチスタートも多く、限られた出場機会で勝負している。
目の前の打席に集中 「出た時にしっかり結果を」
普段はクールな男が勝利に執着し、熱く闘争心をたぎらせた。ワンプレーに懸ける気持ちが表れる。
「出た時の打席を大切にするしかない。きょうはきょう。あしたも出た時にしっかり結果を出せるように準備していきます」。本来の輝きを取り戻すため、期待の主軸候補は必死にもがき続ける。