高校野球
2024/08/11 21:25

白樺・阿部匠真内野手が難病を乗り越え辿り着いた聖地【夏の甲子園】

チームメートに声をかける白樺の阿部=撮影・桜田史宏

■全国高校野球選手権第5日(8月11日、阪神甲子園球場)
▽1回戦 白樺0-1創成館(長崎)

 9年ぶり4度目の出場となった北北海道代表の白樺は0-1で創成館に敗れ、13年ぶりの1勝に届かなかった。甲子園からメンバー入りした阿部匠真内野手(3年)は、昨秋に発症した難病を乗り越え、憧れの大舞台にたどり着いた。試合への出場はなかったが、攻守交代時に選手のサポートをするなど最後まで〝戦力〟としてメンバーと一緒に戦い抜いた。

出場する選手を支える仕事「しっかりできた」

 背番号19の阿部が、大好きな阪神タイガースの本拠地・甲子園でカクテル光線を浴び、最高の思い出を刻み込んだ。「出場する選手を支える、人のために行動に移す、という仕事。それがしっかりできたので、自分でもすごく貴重な時間だった」。この試合は、3年生10人がそろって挑んだ最初で最後の公式戦。「この10人で最後、ベンチに全員入って、いい野球をできてよかった」。病気を発症した時には、再びこんな日が来るとは思わなかった。

昨年10月 ランニング中に意識失った

 異変は突然訪れた。昨秋に背番号17でベンチ入り。全道大会は初戦敗退で出番はなかったが、最後の夏を目指して練習に励んでいた10月。ランニング中にいきなり意識を失った。

 体が思うように動かない。病院で診察の結果、死亡率10パーセントで国の難病に指定されている「もやもや病」と診断された。昨年12月と1月に札幌の病院で2度に渡る大手術の結果、一命はとりとめた。だが医者からは激しいスポーツは控えるように言われ、目の前が真っ暗になった。長い入院生活で、鍛え上げた筋肉はそぎ落ち、体重は13キロ減。頭部には大きな傷痕が残った。

選手を続けられるのか? 思い悩む日々

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい