金メダリスト北口榛花が半井と閉会式で旗手 旭川東の恩師も感無量【パリ五輪】
北海道にゆかりの2人が日の丸掲げた
【パリ共同】第33回夏季オリンピック・パリ大会は11日夜(日本時間12日未明)にパリ郊外サンドニのフランス競技場で閉会式が行われ、17日間の日程に幕を下ろした。閉会式では、陸上女子やり投げ金メダルの北口榛花(26)=JAL、旭川東高出=と、新競技のブレイキン男子で札幌市生まれの半井重幸(ダンサー名・SHIGEKIX、22)=第一生命保険=が日本選手団の旗手を務めた。日の丸の旗を2人で掲げながら、笑顔で場内を歩き、観客の歓声にも手を振って応えた。
SHIGEKIX 第一人者として奮闘4位
北口は優勝候補として臨んで力を発揮し、マラソン以外の陸上日本女子で初の「金」に輝いた。決勝戦後、「悔しさも残る金メダル。まだまだ極めたい」と話した。ブレイキン男子4位の半井は準決勝で、優勝したカナダ選手に屈したが、注目競技の第一人者として奮闘した。日本は海外での五輪で最多となる20個の金メダルを獲得するなど奮闘。半井は「チームジャパンがやり遂げたことが本当にうれしい」とのコメントを発表した。
やり投げ金・北口の原点は旭川時代
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10日の陸上女子やり投げで金メダルを獲得した北口は、北海道旭川市での高校時代に才能を見いだされ、世界に羽ばたいた。「目標にしてきたことは、これまで全て達成してきた」。成長の過程を見守った恩師は、大舞台での快挙達成を心待ちにしていた。
陸上部顧問の松橋さん 五輪を確信
「神様っているんだなと真面目に思った」。旭川東高の陸上部顧問だった松橋昌巳さん(69)は、定年の3年前に北口と出会った。「体が大きく、投げる能力は天才的」。やり投げを始めてわずか2カ月で道大会を制した。将来は五輪に出る資質があると確信した。
バドミントンや水泳など、さまざまなスポーツに取り組んでいた北口は、高校で陸上をやるつもりはなかった。だが北口の中学の先輩で陸上部のマネジャーだった森菜々穂さん(28)が「すごい運動神経が良くて、背の高い後輩がいる」と松橋さんに推したことがきっかけになった。
きっかけは中学時代の先輩の推薦
当初は水泳との二刀流で、高1の秋ごろ、やり投げに絞った。「時に先輩にも厳しい意見を伝えるなど真摯に練習していた」と森さん。松橋さんも「土台だけつくってやれば、勝手にどんどん行く」と感じていた。
実際、高校では敵なし。「高校記録は、最後の大会の最終投てきで達成した」と勝負強さも兼ね備えた。大学に進学後、壁にぶつかった時期もあったが、松橋さんは「高校時代が順調にいき過ぎただけ。今は我慢する時だ」と思っていた。
「松橋先生に報告したい」
チェコに渡って実力をさらに伸ばし、昨年の世界選手権を制し女王として臨んだパリ五輪。表彰台では安堵の涙を流した。「松橋先生に取りましたと報告したい」。自己記録を更新する70メートルを次の目標に定めた北口の挑戦は続く。