会心の新庄采配 2者連続初球スクイズ サイン見破られた1年前のリベンジ成功
■パ・リーグ20回戦 ロッテ1-4日本ハム(8月14日、エスコンフィールド北海道)
やられっぱなしで終わるつもりはなかった。新庄剛志監督(52)が14日、エスコンフィールド北海道で行われたロッテ戦で、鮮やかに1年越しのリベンジを果たした。二回、相手ベンチの意表を突く2者連続初球スクイズを実行。機を見て繰り出した会心の一手が、ピタリと的中した。
昨年6月24日の屈辱晴らす時が来た
気配を消し、2度、刺した。敵失で勝ち越した直後の二回無死二、三塁。次の1点を巡って、水面下の駆け引きが熱を帯びていた。2023年6月24日の屈辱の記憶がよみがえる。同じカードで、同点の九回に2度、スクイズを外され、サヨナラ負けを喫した。
生粋の負けず嫌いを自認する新庄監督はリベンジを強く望んでいた。「去年、ロッテさんにサインを見破られていた。やっぱり男なら、そういう借りは返さないといけない」。ベンチワークでも引けを取らないと、証明する必要があった。メルセデスの投球と同時に、伏見がバットを寝かせる。体を投げ出すように低めボール気味の球を投前に転がした。
伏見も意味が分からなかった指揮官の真意
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ガッツポーズを繰り出し、ベンチでハイタッチしているとき、伏見は監督の声を聞いた。「次、もう一丁やるよ」。この時点では軽く聞き流したが、守りの準備を始めたときに、答えが分かった。「何のことを言っているのかなと思って。チラッと見たら(次打者の水野も)スクイズをやっていたので、そういうことか。連続スクイズってことか。すごいっすね。最初は理解できなかったです(笑)」
「選手を信じて、サインを出した」
球場全体が騒然とする中、直後の初球で間髪入れずに畳み掛けて、点差を広げた。今度は、思惑を悟らせなかった。自軍の選手ですら驚く策で相手を欺き、貴重な1勝をつかみ取った。試合後、指揮官は「選手を信じて、サインを出した」と満足げに振り返った。
過去2年を教訓にチームは進化
1年前は「僕の采配のミス。駆け引きで負けました。ベンチが悪い。僕が悪い」と全ての責任を自らで背負っていた。過去2年を教訓にして、チームは着実に進化している。「どこのチームでもうちの野球を警戒すると思う。それに立ち向かって、勇気持ってサインを出して選手を信じて、成功して」。常識にとらわれない大胆な采配を理解し、遂行する選手がいる。泥くさく、1点に執着した戦いに、今年のファイターズの強さが凝縮されていた。