ファイターズ
2024/08/24 18:30

北山亘基 大学3年時に書いた〝未来からの手紙〟

最適解を導き出し成長を続けてきた右腕

 北山は、中途半端を嫌う。自分と徹底的に向き合い、必要な練習を考え抜いて取捨選択し、筋道を立てて目標に向かう。周りに流されず、納得するまで取り組みの効果を検証し、試行錯誤を繰り返しながら成長を続けてきた。

突然のコロナ禍 目の前が真っ暗になった大学3年の春

 アマチュア時代から、能力向上につながる可能性があることは何でもやった。自然と知識が増え、プロ入り後についた愛称は「教授」。しかし、そんな右腕も過去に、暗中模索状態に陥った経験がある。4年前、大学3年に上がった頃だった。社会は新型コロナウイルスの猛威にさらされていた。

 「特に僕の大学はクラスターが出てしまって、厳しい状況でした。本気でプロを目指していた中で、試合も中止になって、アピールの仕方も分からない。一番しんどい時期でした。基本、部屋の中でできる体幹とか、人のいない時に散歩をするとか、軽く走るぐらいしかできなくて、思うように練習ができない。それでも、ドラフトの時期は近づいてくる。今まで自分の中で、筋道を立てて目標に向かっていくのは得意ではあったんですけど、当時は本当にどうしたらいいだろうと、先が見えなかった。大学によって、練習できる大学と僕たちみたいにできない大学があって、不平等な感じがしながらも、ドラフトは平等に行われる。そこの焦りがありました」

2022年1月7日、勇翔寮の前でガッツポーズするドラフト​​​​​​8位入団の北山

 

不安の中でもがく自分へメッセージ 25歳になりきって

 悩みの中で、不安や焦りにあらがうように未来を想像した。なんとなくではなく、とことん具体的に。そして、プロに入って3年目を迎えている4年後の自分になりきり、暗闇の中でもがく大学3年の自分に宛てて手紙を書いた。

 机に向かったのは、2020年の7月27日。「書いた日の夜のことは、今でもすごい鮮明に覚えています。大学の寮の1人部屋で、部屋を暗くして、アロマをたいて、机の電気だけつけて、書きました。自分がプロに入ることを想像した時に、一番大事な時期、一つのターニングポイントはいつだろうと考えたら、3年目が勝負の年だと思いました。なので、その当時で4年後、2024年、25歳の7月27日の自分になりきるというか、本当に細かいところまでイメージして、その未来の僕が、当時の僕に手紙を出すというシチュエーションで書きました。じゃあ3年目は、ある程度プロにもなじんで、1軍で活躍しているだろう、していなきゃいけないだろうと。それを前提に、話を書いていきました」。全文は、以下の通りだ。

これからも、野球を楽しむんだよ

 21歳の亘基へ

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