《鶴岡慎也のツルのひと声》自分の存在価値を疑うからこその集中力
■パ・リーグ21回戦 ロッテ1ー6日本ハム(8月15日、エスコンフィールド北海道)
下位打線が機能しているのが強さの要因
今、ファイターズは強い。一つの要因が好調な下位打線にある。前日、伏見と水野がスクイズを決めた。しっかりと新庄監督の采配に付いていった。この日は一転、三回に8番の伏見がヒットで出て、続く水野が先制の2ランを放った。下位が機能すれば、打線にバリエーションが生まれる。となれば当然、勝率は高まる。この回一挙6点を奪った。
スタメン出場の選手が結果を出す好循環
しかもこの日、郡司、万波、水谷がスタメンを外れていた。それでも打線は、うまく回った。誰が出ても勝利に結び付く。これこそが好循環だ。3人が先発しなかったのは休養の意味合いがあったのかもしれない。ただ、それぞれの心中は穏やかではなかっただろう。
選手が一番、嫌なシチュエーションは…
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選手にとって一番、嫌なのは、自分が出ていない時にチームが勝つことなのだ。決してチームの勝利を望んでいないわけではない。だが、自分が出ていない時に良い勝ち方をすればするほど、自分の存在価値を疑ってしまう。そこに好循環の要因が存在する。それぞれが次に試合に出た時、相当なプレッシャーと集中力を持って臨む。
打ち損じることのないレイエス 相手にとって脅威
レイエスも今、絶好調だ。相手にとっては手が付けられない状態だろう。ホームランは当然だが、八回の右前打も実に見事だった。インコース低めのボールを右前に持っていった。投げ損じは許されない。相手投手に与えるプレッシャーは相当だ。
重要な一戦に責任感を持って臨んだ加藤貴
加藤貴と伏見。円熟味が増したベテランバッテリーはさすがだった。加藤貴は、右打者へのアウトコース、左バッターへのインコース。この出し入れが完璧で、スプリットは1球も浮くことがなかった。今まで、どこかマイペースな印象が強かったのだが、この日は彼の強い責任感を垣間見た。2位を争うマリーンズとの一戦。しかも1勝1敗で迎えた3戦目。この試合の意味を十分に理解していた。しっかりと気持ちを高めてマウンドに登っていた。
緩急を巧みに使った伏見の好リード
その加藤貴をしっかりとリードした伏見も見事だった。前日の山崎にも言えることだが、緩急が巧みだった。キャリアを重ねれば、重ねるほど緩急の必要性を理解する。ベテランらしいリードを見せてくれた。