帯広農業147キロ左腕・渋谷純希投手がエスコンのマウンドで躍動
LIGAサマーキャンプin北海道
夏の甲子園が盛り上がりを見せる中、北の大地では高校球児を引退した3年生たちがもう一つの熱戦を繰り広げていた。全国から52人の元選手たちが集まり、今月9日から4チームのリーグ戦「LIGA(リーガ)サマーキャンプ2024in北海道(主催/Japan Baseball innovation)」が、栗山町で初開催された。17日には上位2チームによる決勝戦が北広島・エスコンフィールド北海道で行われ、帯広農業のプロ注目147キロ左腕・渋谷純希投手(3年)が2回5奪三振と持ち味を発揮。NPBのスカウトが視察に訪れる中、アピールに成功した。
直球で三振を奪ってアピール
渋谷が不完全燃焼に終わっていた夏の苦い記憶を、プロ仕様のマウンドで塗り替えた。「エスコンでの試合は初めて。そんな経験はなくて、ずっと楽しみにこの日を待ってた。短いイニングでしたが、みんなが守ってくれて、良い経験になりました。自信がある真っすぐで三振を取れたとこでアピールできたのかな」。
ドラフトは育成での指名も視野に
10月24日のプロ野球ドラフト会議へ、「時間があるようでないので、一日一日、無駄にしないで、選ばれても選ばれなくてもしっかり自覚持って、その上のレベルの選手に合う人になれるように頑張っていきます」。育成指名も視野に、2カ月後に迫った運命の日を待つ。
規格外の体格で投手経験まだ半年 今春のデビューから注目集まる
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高校での本格的な投手経験はまだ半年未満だが、伸びしろは十分だ。181センチ、89キロ、足のサイズは31センチと規格外の体の持ち主。中学時代に北海道選抜に選ばれたが、帯広農業2年春に利き腕の左肘を痛めて手術。外野手として試合に出ながら、投手復帰の道を辿ってきた。3年生になり、今春の十勝支部1回戦では3回8奪三振の投球を披露して投手として公式戦デビュー。一気に注目が集まった。
リーグ戦で最速を4キロ更新
今キャンプの存在は夏の大会前から知っていたが、「その時はまだチームのことで一杯」と、目の前の十勝支部予選に集中。敗戦翌日からは切り替え、新チームの練習に参加しながら準備を続けてきた。今リーグ期間中の15日には、自身の最速を4キロ更新する147キロをマーク。決勝では、帯広農業のチームメートが複数応援に駆けつける中、伸びのある直球を武器に次々と打者のバットに空を斬らせた。
元日本ハムの大引さんらに助言受け
期間中、元プロ野球選手と交流することで将来のビジョンにも変化が生まれた。元々はドラフト会議で支配下指名でのプロ入りを思い描いていた。ところがキャンプに講師として参加した元日本ハムの大引啓次さん(40)と元ロッテの荻野忠寛さん(42)から「育成でも行った方が、トップ選手とつながりを持てる」と助言を受け、心は大きく傾いた。
元ソフトバンクの古谷投手が目標
目標は、親同士の親交があるという元ソフトバンクの160キロ左腕・古谷優人投手(25、帯広俱楽部)。「同じ十勝で一番速いって言われているので、同じラインに立てるように。160キロ、そういう強いストレートを持てるようにやってきたい」。才能あふれる遅咲き左腕が、右肩上がりのさらなる成長曲線を描いていく。