宮西尚生 歴代5位に並ぶ856試合登板 昇格祝いのはずが…うれしかった後輩の粋な計らいとは-
■パ・リーグ20回戦 日本ハム2ー5オリックス(8月18日、京セラドーム大阪)
またも刻んだ大記録 「感慨深い」
日本ハムの宮西尚生投手(39)が18日、京セラドームで行われたオリックス戦の七回に救援し、3者凡退に抑えた。この試合で、プロ通算の登板数が「856」となり、小山正明氏(90)と並ぶ日本歴代5位となった。
17年にわたって投げ続け、記録を積み上げてきた左腕は「偉大な先輩方が残してくれた記録というのを目標にやってきたので、そういう意味では並んだというのは、感慨深い」と静かに喜びをかみしめた。
わずか8球で1回をパーフェクト投球
3点を追う展開でマウンドに上がった。1週間ほど登板間隔が空いていたが、集中していた。わずか8球で3人斬り。2死から、左翼手の浅間が飛球をスライディングキャッチすると、グラブをポンポンと叩き、笑顔で好守をたたえた。
進化を続けるベテラン左腕 驚異の防御率0.64
15試合連続無失点。今季は17試合に登板し、1点しか失っていない。防御率は驚異の0.64。20代の頃と比較し、全く引けを取らない。安定感抜群の投球内容について問われ「いやいや、必死よ。必死ですけど、チェンジアップもそうやし、新しい球種によって配球パターン、バリエーションが増えている。次、こういう組み合わせはどうやろと、ワクワクしながら投げているし、それがいい結果につながっているのかな」と自己分析した。
生きる教材 400H達成の夜には21歳左腕と会食
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40歳を目前に控え、投球スタイルだけでなく、内面の変化を自覚している。2軍の鎌ケ谷で過ごす機会が増えたことで、若手と積極的にコミュニケーションを図るようになっていた。
4日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)で史上初の400ホールドを達成した。その夜には、高卒3年目の松浦と食事に出かけていた。自らの若い頃と同じように、少しヤンチャなにおいのする21歳を気にかけ、背中を押してやりたかった。
後輩の行動に感動 「お金がないはずなのに」
大記録を達成した直後にもかかわらず「松浦の昇格祝いをしたかった」と食事をごちそうし、後輩と楽しい時間を過ごそうとしていた。だが、18歳下の左腕から、粋な計らいがあったという。
「アイツ、わざわざオレの嫌いなシャンパンを出してくれた(笑)。お金がないはずなのに気を使ってお祝いしてくれた」。その心遣いがうれしかった。
まさかのタイミング 「自分ができることをやってあげたい」
実際、松浦は前夜に誘われていた食事会が、まさか400ホールド達成直後になるとは思っていなかったという。
「僕が行っていいの?」と戸惑いもあったが、大切な日に、時間を割いてくれた先輩に感謝した。「いろんな人が高い物とか渡すかもしれないですけど、僕はそんな…。自分ができることをやってあげたいなと思い、(シャンパンを)開けました」
次に見据えるは歴代4位の867試合登板
チーム最年長のベテランは今、若手の手本になり、経験を還元しながら、第一線で腕を振っている。
登板数で見ると、歴代1位は岩瀬氏の1002試合。2位は米田氏、3位は金田氏、4位は梶本氏。5位タイの宮西は「岩瀬さんは1000いっていますし、2位、3位は900を超えていますもんね。さすがにちょっと次元が違うな」と苦笑いを浮かべつつ「一試合一試合でとりあえず、4位ぐらいはいきたい」と言葉をつないだ。
まだまだ続く北の鉄腕物語
自らの体と向き合い、創意工夫することで、年齢と逆行するように進化している。底はまだ、見えない。登板数、ホールド数をどこまで伸ばすのか―。
リリーフを極めようとする男のストーリーはもうしばらく、続く。