伊藤大海 2年ぶりの2桁勝利 チームメートが証言するエースの変化 松本剛、万波が明かす
■パ・リーグ19回戦 ソフトバンク3ー5日本ハム(8月25日、エスコンフィールド北海道)
道産子右腕が節目の勝利 芽生えたエースの自覚
日本ハムの伊藤大海投手(26)が25日、エスコンフィールド北海道で行われたソフトバンク戦に先発し、5回5安打3失点。2022年以来2年ぶりの2桁勝利となる今季10勝目をマークした。
プロ4年目の今季は自身初の開幕投手を務めるなど、先発陣の柱としてフル回転。松本剛外野手(31)、万波中正外野手(24)とチームメートの証言をもとに、道産子右腕のエースとしての自覚と変化に迫った。
身近で感じた違い 積極的なコミュニケーション
今年2月の春季キャンプ。伊藤の雰囲気が変わった、と選手間で話題になったという。エスコンフィールド北海道のロッカーが近い選手会長の松本剛は、その変化に気付いた一人だ。シャイで口数が多い方ではなかった右腕が、チームメートと積極的に交流するようになった。
「キャンプの初日から姿勢が違いました。上沢(直之)が抜けて、自覚がすごくあったんだと思う。ロッカーとかでの姿勢とか、雰囲気もそうですし、野手とコミュニケーションを取るようになりました。今までは大海の世界があるし、俺らも邪魔するつもりもなかった。今年は自分から話しかけて来たりするようになりました」
上沢を思わせる不動心 「野手は結構、感じるんですよ」
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センターの守備位置から見ていた、マウンドでの立ち振る舞いも大きな変化があった。昨季まで在籍したエースの上沢直之にどこか似てきた。
「マウンドでの姿勢も全然、違うなって思いました。言い方が悪いけど、あからさまにイライラしたりとかしていた。もちろん悔しいのは分かる。上沢を例に出すわけじゃないけど、アイツは常に一緒。俺らは我慢して投げていると分かる。野手は結構、感じるんですよ」
冗談も言い合える距離感に
劣勢の時でも、気持ちを切らさずに粘り強く投げ続ける。その姿に胸を打たれ、松本剛から声をかけることも増えた。
「そういう感じだから、こっちも話しかけやすい。おまえ、きょう久々にイライラしているな、とか冗談でも言えるし。それで、向こうもちょっと和むじゃないですか。今まではそんなのも言えない空気感だった。何が変わったのか分からないけど、奥さんのおかげじゃない。球場来るのも一番早いくらい来ている。俺よりも早い。歩いたりとか、自分のルーティンを淡々とこなしています。それってすごく大事。やっぱり結果に表れていますよね」
万波も実感 「壁がなくなりつつある」
私生活では、昨オフに結婚を発表。主に食事面で献身的なサポートを受け、心身ともに充実している。試合日はエスコンフィールド北海道に一番乗りすることが多いという後輩の万波は、自然と会話をする機会が増えたと明かす。
「僕はアップの3時間前くらいに(球場に)来るんですけど、ご飯を食べて戻るとロッカーに大海さんがいます。どっかあった壁がなくなりつつある気がします。積極的にいろんな人とコミュニケーションを取っているイメージがありますね」
伏見を交えてプライベートトークも
最近はホテルの食事会場で一緒になり、プライベートの話をした。グラウンドとは違う一面を知ることができた。
「この前、(伏見)寅威さんと大海さんとご飯食べながら3人でしゃべったんですけど、今までそういう機会とかなかった。野球の話より、結婚どうすか?とか。大海さんのパーソナルな部分、野球以外の部分を全然、知らなかったですけど、そういうところまで話してくれるんだって、うれしかったですね」
確実に力強く歩む絶対的エースへの道
入団時から伊藤は「ファイターズのエースになりたい」と口にしてきた。プロ4年目を迎え、誰もが認める「エース」へ確実に成長している。