日本製鉄室蘭シャークス・松田航瑠投手が侍U-23入り 星槎道都大で本格投手専念から急成長
釧路出身の社会人1年目右腕
9月6日から中国・紹興市で開催される野球の第5回WBSC(世界野球ソフトボール連盟)U-23W杯に出場する24人の日本代表(アマチュアで編成)に、釧路市出身で日本製鉄室蘭シャークス1年目右腕・松田航瑠投手(23)が初選出されている。サイドスローから繰り出す切れ味が鋭い最速145キロの直球を武器に大舞台に挑む。シャークスからの侍選出は初めてで、北海道関係では東京都出身で白樺高卒の東芝・笹森公輔投手(23)もメンバー入りしている。日本は予選ラウンドグループAで、オーストラリア、中国、コロンビア、英国、プエルトリコと対戦し、2大会連続の世界一を目指す。
世代別代表を含め選抜経験もなし
全国的には無名の松田航が中継ぎのスペシャリストとして、初めて日の丸のユニホームに袖を通す。釧路朝陽小1年で野球を始めてから、世代別の代表を含め、地域の選抜選手にも呼ばれたことはなかった。しかし、3月のJABA東北大会で右横手投げから自己最速を更新する145キロをマークすると、6月の侍ジャパン選考合宿に招集された。社会人のENEOS、侍大学代表との練習試合では中継ぎで登板し、ともに1回無失点に抑えて代表の座を射止めた。「自分と同じサイドスローがほかに3人いた。たぶん選ばれても1人だろうなと思っていたので、びっくりしました。持ち味はストライク先行と真っすぐのキレ」。自身初の選出には驚きながらも、本大会では持てる力を全て出し切り、優勝に貢献するつもりだ。
高校では内野手兼投手 大学4年時に横手投げへ転向して開花
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星槎道都大4年時に横手投げへ転向し、開花した。釧路江南高までは内野手兼投手。1年夏に背番号15でベンチ入りしたものの、3年間で道大会に出場したのは2年時の北大会1度のみ。その試合では救援登板して1勝を挙げたが、当時は上手投げだった。卒業後、現在は日本製鉄鹿島でプレーする2学年上の長男・彪瑠捕手(25)の経歴を追うように星槎道都大へ進学した。
3年時まで主力コンビの陰に隠れ
同大では二宮監督に内野手を勧められたが、投手への専念を決断。当初は右上手から最速144キロを投げていたが、同期には23年ドラフト広島3位の滝田一希投手(22)や、リーグ戦でノーヒットノーランを達成した現・東京ガスの伊東佳希投手(23)ら2人の150キロ超えコンビの陰に隠れ、3年時までの登板は3試合で計4回⅔を投げたのみだった。
4年時は25回⅓、防御率0.00
このままでは生き残れない―。3年冬に横手投げへの転向を決意した。これが松田航の人生を変えた。4年時の春季リーグ戦で中継ぎとしてデビューすると、そのままリーグ制覇に貢献。全日本大学野球選手権1回戦の大商大戦では、2番手として神宮のマウンドも踏んだ。結局、4年時は春と秋合わせて13試合に登板し、25回⅓を投げて防御率0.00をマーク。今春の室蘭シャークス入りにつなげた。
〈動画:松田投手の投球フォーム〉
「シャークスで結果を残すこと」
結果的に大学同期の主力2人よりも先に侍ジャパン入りしたが、「まさか」と正直な感想を吐露する。年齢はまだ23歳。世界の舞台で活躍すれば、プロ入りの可能性も開けてくるが、「そんなレベルではないと思っている。まずはちゃんとシャークスで結果を残すこと」と自らの現在地を謙虚に捉えている。まずは初選出された侍でしっかりと金メダルを獲得し、室蘭に持ち帰ってくる。