夏は南大会準決勝で札幌日大高に敗れ…

　プロ野球ドラフト会議（１０月２４日、東京）へ向け、北照の１４８キロ左腕・高橋幸佑投手（３年）が８月２８日、北海道高野連にプロ志望届を提出した。今春に招集された侍ジャパンＵー１８日本代表候補合宿で、地元・日本ハムなどＮＰＢ複数球団から一躍注目の存在に浮上した。夏は南北海道大会準決勝で優勝した札幌日大高に敗れたが、今度は国内最高峰のマウンドを目指す。

１２球団どこでも「プロ一択」

　今夏の道内最速左腕が、迷うことなくプロ志望届を提出した。「やっと、という感じ。夏が終わった時点でプロ一択という話は、親とも上林先生（監督）とも話していた。出すからには１５０キロを出して、ドラフト１位を目指す、という方針で、この期間はやってきました。いつも通り後輩たちと練習しながら、ドラフト会議を待ちたい」。１２球団どこでもプロ入りする構えだ。

背番号１の田中大晟と深夜まで語り合った

　準決勝に敗れた夜は、同じ神奈川県内から進学した背番号１の田中太晟投手（３年）と「２年半、ほんとにありがとう」と深夜まで語り合ったが、翌朝８時にはグラウンドに姿を見せ坂道ダッシュなどのメニューをこなした。実家にも帰省せず、これまでと変わらない野球漬けの毎日。「この進路は本当に自分で決めたことなので、自分で決めた道をしっかり最後までやりきる。遊びたいという気持ちはあまりなかった」。港町・小樽の北照だが、３年間、一度も海にも行かず、野球に打ち込んだ。

　甲子園決勝の２３日に発表された侍ジャパンＵー１８のメンバーに、高橋の名前はなかった。「自分の中で、少し入れるんじゃないかって期待は少しあったんですけど、でもこれに選ばれなかったからプロに行けないっていう話じゃない。プロになってから、本当のＷＢＣに出られるように」と、モチベーションにつなげている。

トレーニングの成果は球速以上にキレに表れた

　今も続けているトレーニングの成果で、スクワットは２００キロに到達。体重は３キロ増の８２キロ。ほぼ毎日ブルペンにも入っている。「まだ１５０キロは出てないですけど、アベレージも上がりましたし、何か球速以上に感じるものが自分の中ではあって、現役の時より少し出力が上がったというか、球の質が、キレが良くなった」と大台到達の日は目の前まで来ている。

北照から直接プロ入りなら斎藤綱記以来

　指名されれば、北照からは７年ぶり１３人目。直接のプロ入りだと２０１４年にオリックスからドラフト５位で指名された斎藤綱記投手（２７、中日）以来１０年ぶり。昨オフ、母校を自主トレで訪れた左腕に釘付けになった。プロアマ規定で直接の指導はなかったが「キャッチボールから違うなって本当に感じた。全部ここらへん（胸）に集まってくる」。さらに、上林弘樹監督（４５）を通じてグラブをもらい、練習用として愛用してきた。

　運命の日まで残り２カ月を切った。小学校の卒業文集には「世界中の人々を楽しませるプレーヤーになりたい」と書き込んだが、北照進学時はプロ注目の存在になれるとは、思わなかった。「まさか自分が、っていう感じ。何かの手違いで（プロに）行けたらいいな、ぐらいだった」。あれから６年。札幌生まれ、神奈川育ちの１８歳が、この秋、大きな夢の入り口に立とうとしている。