高校野球
2024/09/02 18:00

【西川薫】夏の甲子園で道外へ野球留学した道産子の躍進に感激と嫉妬

 

 開業100周年を迎えた夏の甲子園は、京都国際の初優勝で幕を閉じました。今年は白樺と札幌日大高の北海道勢2校の奮闘もさることながら、道外に野球留学して甲子園出場を叶えた道産子の存在が目立ちました。

 今回、北海道勢を除いた47代表中4校で、4人の元ファイターズジュニアを含む13人もの道産子球児がベンチ入りしました。優勝した京都国際には、1年秋から主力として活躍した高岸栄太郎一塁手(3年)と沢田遥斗中堅手(2年)ら4人が優勝メダルを手にしました。2年半前、まだ道新スポーツが紙媒体だったころ、当時所属していた北広島シニアから初めて道外へ進学する2人の意気込みを取材させてもらったのが、つい昨日の事のようです。高岸一塁手は当時はまだ外野手。「3年になったときに、甲子園で優勝できる選手になりたい」と目標を語っていましたが、まさに有言実行です。

 また昨春には、22年リトルシニア日本選手権とジャイアンツカップで全国3位になった札幌新琴似シニアから9人が道外に進学するのを取材。そのうちの1人、加藤大成内野手(2年)は、群馬・健大高崎の内野手として今春のセンバツ甲子園で初優勝。一緒に同校に進学した当時のエース・山田遼太投手(2年)は、志望動機を「小学校2、3年生の頃から道外の高校へ行きたかった」と話していたのに少なからず衝撃を覚えました。記者の父も昔、甲子園で活躍していたため、自分も行きたいなあと漠然と思っていましたが、そこまで具体的な目標は持っていませんでした。最近の中学生、特に札幌新琴似シニアの選手はしっかりと自分の言葉で話すのにびっくりします。

 今夏は駒大苫小牧が北海道勢初の全国制覇を成し遂げてから20年。その間、2015年春の東海大四と16年夏の北海があと一歩まで迫りましたが、準優勝に終わっています。もちろん、準優勝でもすごいことなのですが。毎年のように甲子園で優勝争いをしているとか、プロ野球選手をたくさん輩出しているとか、それぞれ憧れる理由はあるでしょう。でも、北海道の高校で自分もうまくなって、周りも一緒に強くなって、甲子園でそれらの強豪校を撃破するなんて、高校野球らしくて痛快の一言。道内有望選手の道外流出を食い止めるには、強くなって振り向いてもらうしかないのか。いずれにしても道内に原石がたくさんいることは確か。深紅の優勝旗が再び津軽海峡を越える日も、夢ではない。今年の甲子園を見ながら、強く思いました。

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