《川崎戦後》不可能を可能にするために1試合1試合前進していくのみだ
■J1第29節 札幌2―0川崎(9月1日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
―試合を振り返って
非常に厳しいゲームだった。特に前半は川崎のクオリティーの高い攻撃の選手たちを抑えるのが難しい状況だったが、選手たちが非常に集中力の高い守備を見せてくれた。ボールを奪ってカウンターというシーンの中で、何回かチャンスはあったと思うが、前半は川崎がよりボールを握り、主導権を握って我々を押し込めるという試合展開だった。
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後半に入っても前半とあまり変わらないような状況で、特に真ん中の選手が少し重いなという印象があったので、3人の選手を交代した。荒野、宮澤、そして中村と、この3人が入ったことで、主導権を自分たちが握る展開に持ち込めた。
そういう中で自分たちがチャンスをつくり、得点を決めて勝利した。交代で入った選手たちの役割がチームにプラスアルファをもたらしてくれたと思っているし、試合全体を通してチームで戦って、チームで勝利するところを見せられた。
―この勝利で約3カ月ぶりに最下位を脱出した
我々にとって大きな3連勝だったのは間違いない。私は19シーズン日本で仕事をしているが、札幌が川崎に勝利する、あるいは横浜Mに勝利するところは、なかなか見られなかったのではないか。ここにいるメディアの皆さんも、長く札幌を取材している方が多いと思うので、過去の結果とか歴史というのはご存じだと思うが。
今シーズンは昨年から5人の重要な選手が抜けた中でスタートした。我々チームとしては、それでも残留できると思ってシーズンに入ったわけだが、ふたを開けてみると、キャンプから常に10人ぐらいの選手が代わる代わるケガしているような状態でシーズンが進んでいったことが、今我々がこういう状況にある大きな理由のひとつと言っていいだろう。昨年に比べ15人もの選手がいないとなれば、降格というものが近づいてくるのは、目に見えて明かなことだと思う。
我々は日々の活動を全てオープンにしているので、皆さんご覧になっていると思うが、シーズン中に重要な選手が入れ代わり立ち代わり、常にケガでいない状態では、試合で結果を出すのは難しいということだ。
(高木)駿は開幕前にケガをして離脱し、髙尾もシーズンインのキャンプから3カ月以上(離脱していた)。鈴木武蔵も、青木にしてもケガがちで、宮澤もケガが多い。荒野に関しては2カ月以上、長く離脱していた。浅野はケガをしては戻って、を繰り返し、今シーズンはコンスタントに試合に入れていない。チェック(スパチョーク)もやはりケガをしては出場して、の繰り返しが今シーズンは多い。
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重要な選手が毎年抜けていく中で、強いチームをつくっていくのは簡単ではない。高嶺も2年前にいなくなったし、小柏、金子、田中駿汰、ルーカス、本来であれば今主軸でレギュラーで出ていなければおかしい選手たちが全部いなくなってしまった中で、コンスタントにJ1で結果を出し続けるのは難しい。
川崎と札幌というクラブの戦いを比較すれば、札幌が川崎に勝利するのは、ひとつのセンセーショナルなことだと捉えてもおかしくないぐらいすばらしい結果だと思う。ドイツで言えば、ボーフムがバイエルンミュンヘンに勝つようなものだ。そうなれば、ドイツは大騒ぎになるだろう。
誰もが不可能だと思っている残留を可能にするために、我々は1試合1試合前進していくのみだと思っている。残りの試合で、我々は毎試合勝利するために戦わなければいけない。それは3連勝しても変わらない。とにかく不可能だと思われている残留を我々が成し遂げるためには、残りの試合ひとつひとつ勝っていくしかない。
本来であればこの3連勝は喜ばしいことであるが、決して我々が手放しで喜んでいい3連勝ではないし、次の試合に向かって我々はまた準備をしなければいけない。昨日の夜はあまり眠れなかったが、今日は勝てて少し眠れるといいなと。
札幌の置かれた現状を、これまでも話してきたと思うが、とにかく我々は地に足を付けて、前を向いて次に向かっていくしかない。