《鶴岡慎也のツルのひと声》レイエスと森本稀哲の共通点
■パ・リーグ20回戦 日本ハム5ー6西武(9月1日、ベルーナドーム)
ハイライトは栗山への押し出し四球
こういう日もある。そう割り切ってもらいたい。柳川のことだ。今回ばかりは栗山にやられた。2死満塁で、押し出し四球。フルカウントからの9球目。フォークを見逃された。それまでストレートをファウルし、完璧に近かったフォークを見極められた。さすがは2000本安打を記録するバッターだ。
すべてをプラスに 簡単に打ち返せない直球が大きな武器
私も現役時代、何度も対戦した。選球眼が良く、甘く入ったら長打にされる。詰まってもヒット、泳いでもヒット。一言で、嫌なバッターだった。柳川は今、自分と勝負してしまっている。ストライクが入るだろうか―と。持っているボールは素晴らしい。特にストレートはストライクゾーンに行っても、簡単には打ち返されない。いい経験をしたと思って、サラっと今回のことを切り替えてもらいたい。
思い出す増井の一言 リリーバーに必要なのは
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長く後ろで活躍してきたピッチャーは皆、切り替えが巧みだった。武田久さんにしても増井にしても。ソフトバンクのサファテや現DeNAの森唯斗もそうだった。体のタフさもさることながら、精神的な強じんさも、より求められる。ある日、打たれた増井をフォローしに行ったら、「別にいいっすよ」。サラリと言われたことがある。そのぐらいでいい。これから、まだまだ厳しい場面で投げていくことになる。同じ失敗は繰り返してはいけないが、割り切りも必要なのだ。それだけの素晴らしいボールを持っているのだから。
プロ野球選手は個人事業主
レイエスは見事だ。これで球団記録の24試合連続安打に王手をかけた。「チームのために」とのコメントをよく耳にする。だが、プロ野球選手は個人事業主。自分の成績が最優先で、それがチームの勝利につながれば最高。少なからず、そういう思いは誰にでもあるものだ。
常にフォア・ザ・チームの精神
ただ、レイエスは心底、チームの勝利を考えて打席に入っている。一回無死二、三塁で前の打者・清宮が空振り三振に倒れた。嫌な空気が流れる中、遊撃への内野安打で先制点をもぎ取った。何としても前に飛ばしたい場面。バットに当てることを優先させた打撃を見せた。無死一、二塁で迎えた三回の第2打席は引っかけてのゲッツーが怖いシーン。右飛に終わったが、しっかりと逆方向へ打ち返した。先頭で迎えた六回の第3打席は17号ソロ。思い切っていいところで確実に甘いボールを仕留めた。
打つべくして打っているレイエス
球団記録を持っているのは森本稀哲さん。私も現役時代、ともにプレーした。決めるバッターのレイエスとチャンスメークする稀哲さん。タイプは違えど、2人とも、「チームのために」という思いが強い。そして頭を使ってプレーしている。投手の特徴を考えながら、キャッチャーと駆け引きし、結果を残す。レイエスは今、打つべくして打っている。