来春創立140周年の北海が61年ぶり秋2連覇狙う 佐藤瞭磨新主将「ロースコアになるほど守備の堅いチームが有利」
札幌支部の組み合わせ決まる
9月25日に開幕する秋季全道高校野球札幌支部の組み合わせ抽選会が10日に行われ、61年ぶりの2連覇を狙う北海は、28日の1回戦で札幌西陵と対戦することが決まった。新基準の低反発バットの影響で本塁打が激減した夏の甲子園大会では、改めて守備力の重要さが浮き彫りになった。昨夏より1カ月以上早く新チームがスタートした北海は、例年以上に基礎、基本に忠実な伝統の守備に磨きをかけている。
昨夏甲子園の覇者・慶応に練習試合2連勝
8月4日に行われた練習試合では、昨夏の甲子園を制した慶応とのダブルヘッダーに2連勝するなど、着々と整備を進めている。センバツが開催される来年3月には創立140周年の節目を迎えるが、平川敦監督(53)は「節目は意識します。130周年は夏に行きました。140周年も行きます」ときっぱり。春は1960年から64年まで5年連続出場の大記録以来となる、2年連続出場に挑む。
新主将の佐藤瞭磨外野手(2年)は、中学硬式の真駒内リトルシニアでも主将を経験。今夏に内野から外野に転向し、初のベンチ入りを果たした。新チーム始動直後に練習で右肩の亜脱臼と右肩関節唇損傷で出遅れたが、お盆明けに練習に合流。練習試合では10試合で主に「2番・左翼」。打線ではつなぎの役割を担う。
佐藤新主将の兄も真駒内リトルシニア出身
昨夏の甲子園で記録員としてベンチ入りした兄・彰哉さん(北海学園大1年)も中学時代には同じチームで4番で主将。北海では新型コロナの後遺症で選手として甲子園の土を踏むことはできなかった。兄からは主将就任時に「(主将の)おまえで全て変わる」と気合を入れられた。「一番は選手としてやってる姿が見たかった。でも兄貴なりに、そのポジションを見つけてやっていたことは尊敬している。自分は兄貴の分まで、選手として甲子園に行きたい。自分は力がないので、声や姿勢で引っ張るしかない」と、自分なりの主将像を思い描く。
堅守に近道なし 指揮官が課す高いハードル
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堅守の道に近道はない。平川監督は「守れて当たり前。アウトにできて当たり前」と、選手に課すハードルは高い。今春のセンバツで「9番・三塁」で先発出場した背番号5の吉井天星遊撃手(2年)は「1個のエラー、1個の四球で流れが変わった試合があった。決勝戦も、最後のここで暴投したから1点入って、そこからズルズル行ってしまった」と今夏の甲子園を振り返る。2週間後に迫った最後の秋へ「まだノックでバウンドが合わなかったりする時が多いので、秋の支部までにしっかり仕上げて、守備10割ができるように頑張っていきたい」。再び聖地の土を踏むため、練習を積み重ねる。
女子ソフトボール日本一のチーム練習から学んだ
柔軟な考えで良いモノはすぐに取り入れる。2月の東海遠征中に昨季女子ソフトボールで日本一に輝いたトヨタレッドテリアーズの練習を見学。硬式球より大きい球でのボール回しを見て、センバツ後から取り入れた。吉井遊撃手は「あの(大きい)ボールを使った後に、ボール回しをやると、しっかり指にかかる。ソフトボールは大きいので、肘先と指先を意識してやるので、それが硬式球のボール回しの時にもできるのと、ボールが小さくなるので、大事に取りに行ったり、両手で取りに行くことも身につけられる。良い球が胸に行くようになります」と効果を口にする。
「低反発になった方が自分たちの強さ出る」
1週間前から、金属バットでのフリー打撃が解禁。佐藤主将は「低反発になった方が自分たちの強さが出ると思う。ピッチャーがある程度しっかり投げて、守備がしっかり守れば、低反発バットでロースコアになればなるほど、守備の堅いチームがどんどん有利になる。木製も低反発も、上げたら外野の頭を越すことは難しい。外野の間を抜ける、低く強い打球はチームとして目指していること。まだ実戦でどうなるか分からないけど、その意識はみんなに根付いてる」。高校野球新時代を迎えた2024年。新たな勝利の方程式で頂点を目指す。