浅間大基 自身の打撃は「日替わり定食」 6日の〝メインディッシュ〟は逆転2点打
■パ・リーグ21回戦 オリックス2-3日本ハム(9月6日、エスコンフィールド北海道)
六回に試合をひっくり返す2点タイムリー
テンションMAX打!「2番・右翼」で先発した日本ハムの浅間大基外野手(28)が1点ビハインドの六回に一時逆転となる中前への2点打を放った。
今季はスクイズなど、小技での貢献が目立っていたが、この日はきっちりと勝負強さも発揮。走攻守にバランスの取れた万能型プレーヤーが最終盤の快進撃を後押しする。
流れを奪い返す一打 ベース上でも感情爆発
浅間が、熱くほえた。0-1の六回1死二、三塁。高く弾んだ打球が二塁手の頭を越えたのを確認すると、力強く右拳を突き上げた。試合をひっくり返した一打に、一塁ベース上でも感情を爆発させた。
クールにマウンド上の宇田川を分析
頭はクールだった。直前にオリックスは継投に移った。宇田川の投球練習が「フォークが全然、決まってなくて、めちゃくちゃ叩きつけていた」ため、真っすぐに照準を合わせた。しかし、初球の低めに決まったフォークを空振り。ただ、引きずることなく思考を切り替えて、次のフォークを冷静に見逃した。
「内野が前に来ていたので、とりあえず前に飛ばせば何か起こるやろっていう感じで。気持ちっす。しっかり振った結果、抜けたので良かった」。3球目も投じられたフォークをはじき返した。
お守り効果は絶大!? 22年の首位打者から譲り受けた…
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〝お守り〟効果もあったかもしれない。打撃練習の際、スイング軌道を確認するための特注の短いバットと、自身がいつも使用するバット、そして松本剛から譲り受けたバットの3本を必ず携帯する。2022年の首位打者が愛用するバットを「お守りです」とニッコリ。この日は、その選手会長を同点のホームに迎え入れてみせた。
胸に刻まれた6年前の震災
18年に発生した北海道胆振東部地震から6年が経過した。試合前には被災者を悼んで、黙とうもささげられた。道内全域がブラックアウトし「寮が真っ暗になって、みんなでロビーに出て、ろうそくかなんかをつけた」光景は脳裏に刻まれている。当時、震災後の初勝利でヒーローとなったのが浅間だった。「こういう日は勝つことが一番なので、勝てて良かったです」と喜んだ。
あらゆる投手にもアジャスト 大技小技で勝利に貢献
3月に負傷した右手首も癒え、6月下旬に1軍へと戻ってきた。復帰後は右手首への負担も考慮し、対投手にアジャストしたスイングを心がけている。相手投手との兼ね合いや他の選手の調子により、起用法も異なるが、高い適応能力で結果を残す。
そんな自らの打撃を「日替わり定食」と持ち前のワードセンスで表現する。「冷静に考えながらやれている」と、その日その日に合わせた〝メインディッシュ〟でチームを支えている。
狙うは大逆転V エンジョイ精神で突き進む
6年ぶりのCS(クライマックスシリーズ)進出、そして大逆転優勝を目指す。プロ10年目を迎えた浅間もしびれる戦いを歓迎する。
「楽しむしかないと思う。こういう状況であったり、本当に負けられない日々が続くので、楽しんだ人間が結果を出すし、勝てるんじゃないかな」。新庄監督譲りのエンジョイ精神の先に、奇跡の結末が待っているかもしれない。