加藤貴之が自己最多9勝目! よみがえる2016年の記憶「今のチーム状況は似ているなって…」
■パ・リーグ22回戦 オリックス1ー5日本ハム(9月7日、エスコンフィールド北海道)
日本ハムの加藤貴之投手(32)が7日、オリックス戦に先発し、7回1失点の好投で自己最多の9勝目を挙げた。今季も順調に登板数を伸ばし、4年連続で規定投球回をクリア。頼れる男がシーズン終盤も、チームに安定感をもたらしている。
二回までに41球 苦しい立ち上がり
苦しい序盤を乗り越え、リズムが生まれた。二回までに投じた球数は41球。テンポと制球力を生命線とする左腕にとって、本意ではない立ち上がりだった。
オリックスとは今季3度対戦し、0勝2敗。分の悪い相手に対して余計な力みが生まれ、繊細なコントロールに狂いが生じた。ボール球が増え、後手に回るピッチングから救ってくれたのは、女房役の助言だった。
「寅威さんの言葉でリラックス」
「(伏見)寅威さんに『慎重になりすぎないことを意識しよう』と言ってもらって、その言葉でリラックスできました。ちょっと球数は多くなったけど、その後はしっかり修正できて七回までいけて良かった」
チームを背負う責任感「乗り遅れないように」
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順位争いが佳境を迎えた今、主戦投手の好調ぶりが何よりも心強い。8月8日・楽天戦から自身5連勝を飾り、チームの貯金は今季最多の15まで膨らんだ。
「8月からチームに良い流れで来ているので、乗り遅れないようにしたい。自分が連打を食らって失点したら、一気に沈んでしまう。そんな危機感を持ちながら毎試合やることで、いい方向にいったと思います」。チームを背負う責任感が、強い勝ち運を呼んでいる。
初の2桁勝利見えた?「欲はないです」
4年連続で規定投球回に到達し、勝ち星もキャリア最多を更新。初の2桁勝利も見えてきたが、「欲はないです。4年前は先発も中継ぎもやると思っていたけど(現在は)先発だけやらせてもらっている。それは当たり前のことではない。感謝の気持ちを持ちながら投げたいと思います」。個人記録への色気は封印し、チームのために腕を振る。
「点を取られたら取ってくれる」
2016年の優勝を経験したメンバーは、もう数少ない。貴重な経験値を持つ加藤貴は今、漂うチームの雰囲気に懐かしさを覚えている。「(8年前の)夏場はすごかったですね。点を取られたら取ってくれる。今のチーム状況は似ているなって感じています」。勝ちの味を知る男は奇跡を信じ、遠い鷹の背中を追う。