ファイターズ
2024/09/12 00:25

田中正義 サヨナラ呼び込む力投 マウンド上で見せた笑顔に隠された新庄監督からのメッセージ

延長十一回を無失点に抑えた田中正=撮影・井上浩明

■パ・リーグ22回戦 西武2ー3日本ハム(9月11日、エスコンフィールド北海道)

延長十一回に6番手登板 完全投球で攻撃にリズム

 日本ハムの田中正義投手(30)が11日、エスコンフィールド北海道で行われた西武戦で同点の延長十一回からマウンドへ。最速154キロを記録した直球と変化球のコンビネーションで3者凡退に抑え、チームのサヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 試合後は「楽しみました」と笑顔を見せた。

マウンド上で楽しんだ守護神

 同点弾を浴びた6日のオリックス戦(同)以来の登板。マウンド上の田中正から、白い歯がのぞいていた。ベンチで見守っていた建山投手コーチが「きょうはリリースの時も笑っていた」と言うほど。新庄監督が常々口にしている「楽しむ」を体現しながら、腕を振った。

6番手で延長十一回のマウンドに上がった田中正

 

今季ここまで46試合に登板

 ソフトバンクから移籍2年目の今季は、ここまで46試合に登板。開幕から抑えの重責を担い、「今シーズンは苦しいというか、チームに迷惑かけている。申し訳ないし、なかなか貢献できていないことが本当に苦しかった」と、もどかしい日々を送ってきた。

折れそうな心を救った指揮官の言葉

 先月は4日のソフトバンク戦で救援失敗し、同6日に出場選手登録を抹消。およそ1カ月、真夏の鎌ケ谷で鍛錬の日々を送った。今月1日に1軍再昇格。心が折れそうになった時、救ってくれたのは指揮官の言葉だった。

 「打たれた日も『楽しんでいこうぜ』とメッセージをいただきました」。シンプルな言葉は、田中正の心に響いた。「何度も心が折れそうになりましたが、自分なりに歯を食いしばって頑張ってきて、ここまでこれたかなと。残りの試合は楽しんで投げてもバチが当たらないかなって。新庄監督の楽しめってアドバイスもあって、より楽しもうという気持ちになれました」。肩の荷が下り、自然と笑えるようになった。

延長十一回を無失点に抑えた田中正=撮影・松本奈央

 

英断のモデルチェンジ 建山コーチ「本当、難しいこと」

 新たな挑戦も楽しんでいる。ストレート主体のピッチングだったが、変化球を交えたスタイルにチェンジ。「自分の中で限界、行き詰まりも感じていましたし、そこ打破しようとすることは苦しかった。そこを楽しんでやっていけたらいいなと思います」

 果敢にチャレンジする右腕の姿に、建山投手コーチは「ピッチャーがシーズン中にモデルチェンジするのは本当、難しいこと。ストレートだけじゃダメだと、変化球を交えながら、きょうはしっかり抑えてくれた」と目を細めている。

吹っ切れたクローザー 残り17戦も全力で楽しむ

 レギュラーシーズンは残り17試合。「本当に今シーズン、苦しかったですけど、なんとか折れずにここまで来られたので、最後は楽しみます」

 爽やかな笑みを浮かべ、田中正は球場を後にした。

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