道産子新米パパ・長谷川大晃が地元でスタートダッシュ「家族養うために」【男子ゴルフ・ANAオープン】
■男子プロゴルフツアー ANAオープン(9月12日、北広島市・札幌ゴルフ俱楽部輪厚コース、7066ヤード、パー72)
▽予選ラウンド第1日
3連続バーディーで首位と4打差
旭川市出身の道産子・長谷川大晃(27、フリー)が前半3番から3連続バーディーを奪うなど5バーディー、ノーボギーの67。首位と4打差ながらレギュラーツアー・プロ5戦目で自己最高の7位タイで発進した。
昨年8月に結婚。同11月には第1子となる長女が誕生。同12月には翌シーズンの優先出場権を争う予選会(QT)で初めてファイナルまで進み、ツアーメンバーの仲間入り。今春からさらなる飛躍を目指すため、東北福祉大時代に過ごした仙台に拠点を移し、ゴルフ漬けの毎日を過ごしている。
まずは初の予選通過へ予選最終日も得意のドライバーを軸に、攻めのゴルフを展開するつもりだ。また1打差の16位タイには、長谷川の大学時代の同期で、プロ1勝の江別市出身・片岡尚之(26、CS technologies)が続いた。
「タッチとラインが合っている」
パパは強しー。主催者推薦で今大会プロ初陣となった長谷川が、愛する家族のために地元でスタートダッシュを決めた。3番パー3で4メートル、4番パー4では6メートル、5番パー5では3打目をカラーから寄せて楽々バーディー。前半だけで4つのバーディーを奪った。後半にも1つスコアを伸ばして、ホールアウト時には首位と3打差の4位タイにつけていた。
「6メートル、7メートルのバーディーパッドが入ってくれてるのが、今日の良いところ。タッチとラインが合っている状態。自分が思ったスピードと転がりをしてくれているので、それがスコアにつながっているのかな」と手応えも上々だ。
父は旭川でゴルフ練習場経営 世代トップクラスの飛ばし屋
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この日は父・千晃さん(53)がキャディバッグを担いだ。長谷川が幼少期は千晃さんが経営する旭川のゴルフ練習場で自然とクラブを手にした。お客さんの打ったボール拾いも手伝う孝行息子だったが、「いまでも練習はあまり好きじゃない」と苦笑いを浮かべた。
旭川龍谷高時代からドライバーの飛距離は約300ヤードと、世代トップクラスの飛ばし屋はいまも健在。コースマネジメントもドライバーが中心だ。最終18番パー4では、同伴者がフェアウェイウッドを手にする中、ドライバーで右サイドのガードバンカーを軽々とオーバードライブ。「僕、刻んだ方が曲がるんですよ。だったら自信持って振れるクラブを振ってった方がいい」。この日、パー3を除く14ホールでドライバーを握らなかったのは3回だけだった。
21年にプロ合格も成績振るわず
東北福祉大4年時の2019年11月にプロ転向を宣言。21年にプロテストに合格した。ところがなかなかQTで上位に進出することができず、22年までレギュラーツアー出場はわずか3試合にとどまっていた。さらに23年は出場ゼロに終わり、QTに全てを懸けた。
まな娘誕生で一打の重みが変化
その年の8月に結婚、11月にはまな娘の愛心(ゆあ)ちゃんを授かり、ゴルフに対する姿勢にも変化が生まれた。「稼いで家庭を養っていかないといけないって思ったら、一打の重みをもっと感じるようになりました。ここぞっていう時の集中力が、ちょっと増したのかな。今日(12日)で10カ月になるんですけど、やっぱり家族を養うためにもちょっと、パパ頑張ります」と胸を張った。
今回はAbema(下部ツアー)からの連戦だったために来ていないが、愛妻は「優勝を争うとしたら行こうかなっていう話はしてるので、何とかいい位置に残れるように頑張りたいですね」。週末の決勝ラウンド進出はマスト条件だ。
ジュニア時代から観戦した今大会
今年で50回目の節目を迎える大会。「北海道といえばANAというイメージが小さい頃から強い。ジュニア時代からも観戦に来たりしていたので、その舞台でこうやって戦える事はすごく光栄なんですよ。深堀さんが優勝した時(05年)はすごく覚えてます」。歴代優勝者にはそうそうたる名前が刻まれているが、道産子の優勝はまだ達成できていない。
長谷川がプロ5試合目で初優勝すれば、1999年の現ツアー施行後、21年に4試合目で初優勝した片岡に続き歴代5番目の最短記録にもなるが、「狙える位置に残れてたら。今のところは全然、優勝とかはまだ意識せずに」。残り3日間も自分のゴルフを貫き、家族の未来を切り開く。