北国の夏は、駆け足で過ぎてゆく。車で通うエスコンフィールド北海道までの通勤路では、豊かな自然を味わえる。つい最近まで深緑だった木々の色も、季節の移ろいと共に、少しずつ黄色味を帯びてきた。

　都会っ子の山本拓は、毎日のドライブを満喫している様子だ。「道の近くに森がある。こんな景色を見ながら出勤できるプロ野球選手って、なかなかいないですよ」と、うれしそうに話してくれた。

　目にする光景は、きっと驚きの連続なのだろう。ど田舎育ちの記者が気にも留めない出来事でさえ、やまーんは新鮮さを覚えている。

　「エスコンに来るまでの道の途中に、キャベツが落ちてるポイントがあるんですよ。僕が暮らしてきた中で、キャベツが落ちてる道なんてなかった。出荷するトラックから落ちちゃったのかな？ 北海道らしいなぁって思いました（笑）」

　ほっこりしたエピソードが、なんとも可愛らしい。ユニークな感性で四季を捉える右腕は「最近は涼しくなってきましたね。半袖半ズボンでは過ごせなくなる寒い時期まで、野球をやっていたいです」。自身初のポストシーズンへ進めば、願いは叶うはず。夏より〝熱い〟１０月を、ぜひ経験してほしい。