異例のパワープレー実らず東京Vに完封負け 札幌DF岡村大八「ミシャの勝ちたい気持ちが出ていた」
■J1第30節 札幌0―2東京V(9月14日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
リーグ戦5試合ぶり黒星
勝利への執念実らず完封負け…。リーグ戦で3連勝していた北海道コンサドーレ札幌は、公式戦5戦負けなし中の本拠地・プレドに7位東京Vを迎えたが、0-2で敗れ、リーグ戦5試合ぶりの黒星。後半途中からは守備の要・DF岡村大八(27)を最前線に上げるパワープレーを展開して得点を奪いに行ったが、最後まで相手ゴールを割ることはできず。J1残留に向けて痛恨の敗戦を喫することとなった。
武蔵が足をつって岡村が最前線に
1点ビハインドの後半25分、FW鈴木武蔵(30)が足をつってプレー続行が難しくなり、代わってMF宮澤裕樹(35)が投入された。そこから3トップの頂点に配置されたのは、同19分に同時にピッチインしたFWジョルディ・サンチェス(29)でもFWアマドゥ・バカヨコ(28)でもなく、直前まで3バック中央の位置で奮闘していた岡村だった。
「ベンチから、ハチ(岡村)が最前線と言われたので、その指示に従って前に入った
パスサッカーが信条の札幌が後半25分に決断 「僕たちも思った」
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試合終了まで残り時間は20分以上。パスサッカーを信条とする札幌にとっては異例とも言える〝早仕掛け〟となったが、「どれだけ自分たちが勝利を目指したかというところは目に見えて分かると思うし、ミシャがああいう決断をするということが、どれだけ目の前の試合に勝ちたいかという気持ちが出ているなと僕たちも思った」と、岡村は決断を下したミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)の心情をくみ取る。
競り勝ってもこぼれ球を拾えず
ロングボールのターゲットとなった岡村は、指揮官の意図通りに持ち前の高さと強さを発揮して競り勝つ場面を多くつくり出した。だが東京Vの意思統一された粘り強い守備の前になかなかセカンドボールを拾えず、最後まで決定的な場面をつくり出すことができなかった。「もっと相手のゴール前でチャンスをつくれれば良かった。結果を出せなかったことが、個人としてもチームとしても非常に悔しい」と振り返った。
前半10分にはアクシデントも
3連勝中で直近2試合はクリーンシート達成と、安定感を見せていた守備陣に大きなアクシデントが降りかかったのが前半10分だ。シーズン中盤から右CBのレギュラーに定着し、攻守両面で持ち味を発揮していたDF髙尾瑠(27)が、右足のもも裏を痛めてプレー続行不可能になった。
適正ではない馬場の裏を取られ
代わってMF荒野拓馬主将(31)をボランチに投入してDF馬場晴也(22)を右CBに配するも、これが守備に影響を与えてしまった。「瑠がケガをして、馬場が本来適正ではないポジションをやったというところも、ちょっと難しかった」と岡村が一番悔やんだというのが、後半9分に先制点を許したシーンだ。
マークのズレが生じた
馬場が縦パスを受けたボールホルダーの動きにつられて前へ出てしまうと、マークしていたFW山見大登(25)に自身が空けたその裏のスペースを狙われてピンチを招く。3バック中央にいた岡村が懸命にカバーに走るも、マークのズレが生じた札幌は東京Vの攻撃を食い止めることができず、最後はMF山田楓喜(23)にゴールを奪われた。
「僕たちのマンツーマンが崩れたところを突かれてしまった。ディレイして枚数を戻して守れたら、あの局面もたぶん失点につながってなかったんじゃないかなと思う。我慢比べの部分が相手よりも良くなかった」
「下を向いている暇はない」
残留圏内17位・湘南とは勝ち点7差。勝利すればその差を詰めることができただけに非常に悔しい一敗となったが、最後まで戦い抜いた選手たちをゴール裏のサポーターは拍手で迎えた。「サポーターからも言われたけど、僕たちが下を向いている暇はないし、次の一戦一戦に向けてやっていくだけ。僕たちが諦めたら、誰が残留をつかみ取るんだという話になるので、次の試合に向けて切り替えていきたい」と、温かい声援に応えるべく次なる戦いでの巻き返しを誓う。
次節は首位・町田とアウェー戦
次節は優勝争いを繰り広げている町田とのアウェーゲーム(9月21日、Gスタ)。荒野、DF大﨑玲央(33)が累積警告で出場停止となる上に髙尾の出場も不透明な状況だ。
「切り替えて準備していく」
岡村は「自分たちの選手層も厚くなっている。逆にそこで新しい選手たちがチャンスをつかんでスタメンを取れば、もっとチーム内競争も生まれる。チャンスが来た選手たちが良いパフォーマンスを出していけるように、自分たちもサポートして、一緒に勝っていくために、切り替えてこの1週間で準備していくだけ」と前を向く。
残り8試合となったJ1リーグ戦。その到達点に残留という歓喜が待っていることを信じ、札幌はただひたすらと突き進んでいく。