”文武両道”ドラ1達 解剖学勉強で柔軟性アップ
分厚い医学書「プロメテウス」を熟読 BIGBOSSへアピールだ
■新人12選手が札幌で本契約
今秋のドラフトで指名を受けた日本ハムの新人12選手が4日、札幌市内のホテルで本契約を結び、合宿所などの施設を見学した。ドラフト1位の達孝太投手(17)=奈良・天理高=は、医学書「プロメテウス」で解剖学を勉強中。体の仕組みを学んで向上した柔軟性を武器に、ビッグボス・新庄剛志監督(49)にアピールする。また、同9位・上川畑大悟内野手(24)=NTT東日本=は都市対抗野球出場のため不参加となった。
プロ生活へ準備着々「楽しみしかない」
札幌入りした前日3日に降っていた雨はやみ、朝起きると外は澄み渡った空が広がっていた。初めて足を踏み入れた北の大地で、学生服姿の達は表情をキリリとさせた。
「きょう正式に契約させてもらい、より気が引き締まりました。北海道に初めて来て、札幌ドームに近くなった感覚があった。ここでプレーしたい気持ちが強くなりました」
いよいよ始まるプロ生活。球団が研究熱心と高く評価する194センチの本格派右腕は、準備を着々と進めている。今年春に自ら定価1万円超えの医学書「プロメテウス」を購入し、本格的に解剖学の勉強をスタート。体の仕組みを理解し、柔軟性の向上に役立ててきた。
「意識して筋肉を伸ばしたりストレッチすることで、普通にストレッチする以上の効果が得られる」。ビッグボスこと新庄新監督は股関節の柔軟性を重要視しており、「他の選手より自信があります」と胸を張る。
解剖学に興味を持ったきっかけは、中学の時からお世話になっているトレーナー。会話の中で出てくる筋肉の名称を理解できず、「トレーナーの人を超えたい。一方的に言われることばっかりだったので、反論できるようになりたい」と思い立った。
本職の医療従事者も読んでいる600ページに及ぶ専門書から、日々知識を吸収中。「最近だったら、腹筋は第五胸椎から恥骨まで付いているというのが、自分の中では一番びっくりした」。年明けに入寮する千葉・鎌ケ谷の「勇翔寮」にも持って行くつもりだ。
すでにプロ意識は十分。「自分の中で不安は全くなくて、楽しみしかない」。そう力強く言い切った将来のエース候補に、期待は膨らむばかりだ。(中田愛沙美)
ドラ2有薗は長打力と強肩で魅せる
ドラフト2位・有薗(千葉学芸高)は本契約を終えて、「緊張しています。汗がすごいです」と初々しい表情をのぞかせた。
新庄監督へのアピールポイントを問われると、「広角に長打を打てるところと、肩の強さを見てほしい」と返答。高校時代は投打二刀流としても活躍し、遠投は115メートル。ビッグボスが掲げるキャッチボールから低く強く投げる練習を中学時代から取り組んでいた。
現役時代、強肩が売りだった指揮官の映像をチェック。「センターからのバックホームですごいボールを投げていて、見習いたい」と目を輝かせた。
◆プロメテウス 医学書院が発行している解剖学の専門書。体の各部位を分かりやすいイラストで説明し、医療従事者や医学生から支持される。シリーズ化されており、関連書籍も多数販売されている。
ドラ3水野「開幕1軍」へ闘志
○…先月29日に社会人野球最後の試合を終えたドラフト3位・水野(JR四国)が、契約金5000万円、年俸900万円で本契約を交わした。「素直にうれしい気持ちと、やっと実感がわいてきたという気持ちが強い」と表情をほころばせた。新庄監督はレギュラー争いは横一線であることを強調。即戦力の期待がかかる内野手は「新人の僕らにもチャンスがあるので、開幕1軍を目指してやっていきたい」と意気込んだ。(札幌)