《鶴岡慎也のツルのひと声》投手と打者、どっちが好きなの?大谷翔平の答えは…
■パ・リーグ21回戦 楽天3ー7日本ハム(9月20日、エスコンフィールド北海道)
まるでカブレラ 率も残せるレイエス
2本塁打のレイエスは見事としか言いようがない。2本とも変化球を捉えたところに価値がある。「ストレートを反応でドカン!」ではない。しっかりと配球を読み、確実な待ち方をした上で持っていった。失投を逃がさず、率も残せる。まるで西武にいたカブレラ。彼を思い起こさせる。
投げミスを許さない ファイターズにとって頼もしい存在
私がキャッチャーならば、「四球OK」ぐらいの気持ちで、変化球主体に攻める。そして高めの直球を振らせる。だが、配球ミス、投手の投げミスは許してくれない。それぐらい、今のレイエスはファイターズにとって頼もしい存在だ。
確信できた清宮の成長
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レイエスの活躍が目立つのだが、清宮の成長を見た一戦でもあった。1打席目。フォークボールを持っている左腕の早川に対して、左打者の清宮が引っ張るのは簡単なことではない。ここで反対方向のレフトへ、見事なヒットを放った。
主軸に置きやすいバッター 計算できる打者
このようなヒットは首脳陣を安心させる。引っ張りだけの打者ならば、計算が立たない。安心してクリーンアップを任せられると新庄監督も思ってくれたはずだ。三回1死二塁での四球も大きかった。カウント3―2から、際どいスライダーをしっかりと見送った。ボールを手前に引きつけられている証拠だ。活躍できるバッターは皆、ボールを引きつけることができる。主軸に置きやすいバッター、計算できる打者になってきた。
6打数6安打3本塁打10打点なんて見たことない!
大谷にも触れたい。私もファイターズで共に戦った。50本塁打に王手をかけてから、あっけなく「50―50」を達成した。それだけで終わらず、3本目。見る者の想像を超えていくところが、いかにも翔平らしい。6打数6安打3本塁打10打点なんて見たことない!
「何なんだ!?」と思わずにはいられない
野球で身を立ててきた者として、彼のやっていることは理解できない。百何年という野球の歴史で誰も成し遂げたことのない記録を打ち立てた。うれしい、誇らしいといった感情ではない。「何なんだ!?」というのが正直なところだ。彼と同じユニホームを着てプレーできていたことは本当に幸せだった思える。
楽しいのはピッチャー 自信があるのはバッター
彼のスゴいところ、変わらないところ。それは人生の全て、1日のすべてを野球に注いでいるということ。睡眠も含めて野球のため。私もリカバリーを含め、現役時代は相当、野球に懸けていた。それでも甘かったと思わせられた。ファイターズにいた頃、彼に聞いたことがある。「投手と打者、実際はどっちが好きなの?」と。彼の返事が忘れられない。「楽しいのはピッチャー。自信があるのはバッター」
天井が見えない大谷翔平。次は何を見せてくれるだろうか。