《町田戦後》多くの選手が足をつって本当に力の一滴を最後まで振り絞って戦った
■J1第31節 町田0-0札幌(9月21日、東京・町田GIONスタジアム)
―試合を振り返って
町田と戦うのは難しいゲームになると思っていたが、思っていたとおり非常に難しいゲームだった。町田は非常に特殊な、オーガナイズされたサッカーをするチームで、高さのある選手が多く、そこをターゲットにロングボールを入れてきてセカンドボールからのシュート、あるいはクロス、あるいはロングスロー、あるいはCK、FK、オーガナイズされたセットプレーと、分かってはいてもなかなか防ぎきれないことが多い。そういうシチュエーションを意図的につくり出す中で得点をし、試合をものにしていくチームなので、非常に難しいゲームだった。
過去にプレミアリーグでストークシティというクラブがあったが、プレミアリーグで戦ったとき、そのチームは小さい選手でも180センチ後半ぐらいの選手で、そういった高さのある選手を多く揃え、それを生かす戦いをしていたと思う。そのチームもロングスローを多用し、セットプレーでも非常に強さを発揮していた。イングランドのスタジアム、陸上トラックがないようなサッカー専用スタジアムの中で見ていた観客の方々は、ロングスローやセットプレーがあると得点の匂いがして沸くというのが、ストークシティの昔のゲームだったが、町田はそれに似ているなと私は思った。
町田もロングスローやセットプレーがあると、見ている方々は得点の匂いを感じて沸くというような、そういった今日のアウェーの試合だったが、私の個人的なサッカーの好みとしては、ロングスローをペナルティーエリアに入れてはいけないとか、あるいはセットプレーをペナルティーエリアに放り込んではいけないとか、そういうルールができたらいいなと思うタイプのサッカーを好む人間だ。
そういう戦い方、そういうルールがあったら、もしかしたらよりボールをつながなければいけないような、そういうサッカーに変わっていかなければいけないかもしれないが。もちろんサッカーを見る人の好みはあるが、やはり人気があるのはマンチェスターシティやバルセロナだ。
今日のゲーム、町田はそういう規律のある、非常にプロフェッショナルな戦いをするチームであり、与えられた役割を全員が規律を持って遂行する。そうした相手に対して、よく選手たちは戦ったと思う。特に町田の右サイドの22番の選手(MF藤本)によく突破されて、危険なシーンというのも何回かあったが、そういう中で選手たちは体を張ってよくゴールを割らせなかったと思うし、反対に自分たちのボールを持つ時間であったり、あるいは意図的に相手を崩して得点を奪う場面であったり、奪って速く攻める場面であったり、そういったシーンをつくりながら、町田のゴールに迫ることもできたと思う。非常に厳しいゲームだったが、今日のゲームは我々らしい戦い方ができたのではないかと思う。
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もちろん我々は今の状況から考えれば勝利がほしいゲームではあったが、アウェーで首位相手に1ポイントが取れたのを、ある意味、評価しなければいけない試合だったと思う。
最後の方は我々の選手も多くの選手が足をつって、本当に力の一滴を最後まで振り絞って戦った。スパチョークも最後は本来であれば1対1で仕掛けてシュートという場面をつくると思うが、やはり彼も試合終盤で、最後になかなか仕掛けるだけの力がなくてシュートを撃った。本来であればもっと危険な場面をつくれたと思う。
残留に向けて1ポイントというのは、決して満足できるポイントではないが、ただ首位相手にこれだけの戦いができたこと、アウェーで1ポイントを持って帰ったことは、一定の評価をしなければいけない。ただ置かれている状況からすれば、決して満足できる結果とは言えないだろう。
今日の他会場の結果で言えば、磐田、そして柏と、残留を争うチームが引き分けに終わったということで、ポイント差は開かなかったし、詰めることもできなかった。我々、下にいるチームとしては、試合数が少なくなってくれば、もちろん順位を入れ替えることのチャンスが少なくなってくるので、厳しい状況に追い込まれたことには変わりはないと思う。