〝リーグ初出場〟の札幌MF深井一希&GK児玉潤がチーム救う 首位・町田から貴重な勝ち点1
■J1第31節 町田0-0札幌(9月21日、東京・町田GIONスタジアム)
2試合ぶりのクリーンシート
首位・町田の本拠地に乗り込んだ北海道コンサドーレ札幌は、ロングボールやロングスローを多用する攻撃を体を張った守備で耐え抜き、スコアレスドローへと持ち込んだ。勝ち点を26に伸ばし、J1残留圏の17位・湘南との差は暫定で6となった(9月21日時点)。負傷者が続出する厳しい状況の中、2試合ぶりのクリーンシートにひと役買ったのは、2人の〝リーグ戦初出場〟の選手だった。
体を張って強力FW陣に対抗
194センチの長身FW呉世勳(オ・セフン、25)、チームのスコアリーダーFW藤尾翔太(23)、元オーストラリア代表FWミッチェル・デューク(33)、J通算42得点のブラジル人FWエリキ(30)と、次々と強力なFW陣を送り込んできた町田に対し、DF岡村大八(27)やDF中村桐耶(24)を中心とした札幌守備陣は、激しいぶつかり合いに屈することなく得点の芽を摘み続けた。
宮澤が負傷して後半6分に交代
最初のアクシデントが襲いかかったのは前半終了間際だった。相手選手との競り合いの直後、MF宮澤裕樹(35)が胸部を痛めて起き上がることができず、ハーフタイムには担架でロッカールームへと運ばれた。後半もプレーを続行した宮澤だったが、万全とはいかず後半6分でピッチを後にすることに。
1年ぶりに深井がリーグ戦復帰
その宮澤に代わってピッチに投入されたのが、今月8日のルヴァン杯ホーム横浜M戦で戦線復帰したばかりのMF深井一希(29)だった。「(ハーフタイムに)裕樹くんがもう少しできるということで。早めに交代するかもということは言われていた」と、宮澤が時間をつくってくれたこともあって、体と心の準備を万全にした状態で、昨年9月23日アウェー名古屋戦以来1年ぶりとなる、今季初のリーグ戦のピッチへと飛び出していった。
「今日はマンツーマンという感じではなく…」自らの持ち味発揮
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宮澤が担っていた中盤の底にそのまま入ると、ブランクを全く感じさせないプレーを披露し、チームの後方と前線をリンクさせる役割を完遂してみせた。「今日はどちらかというとマンツーマンという感じではなく、相手が放り込んでくる中でセカンドボールやスペースを見ながらだったので、自分の持ち味を出しやすかったし、バランスを取りながら、取ったボールをつないでというところも自分らしくできた」と、自身でも手応えを感じることができた〝復帰戦〟となった。
菅野の負傷で児玉がJ1初出場
試合終了の時が近づいていた同38分、再び札幌にアクシデントが降りかかる。GK菅野孝憲(40)がデュークのシュートに反応した際にポストに激突して負傷し、プレー続行が不可能に。緊急事態の場面で声が掛かったのが、J1初出場となるGK児玉潤(27)だった。
「残り時間が少ない中でのスクランブル出場ということで、やることが明確だったので、シンプルにノーリスクでプレーすることと、いい内容でゲームが続いていたので、自分が出て試合を締めて、ゼロで終われるようにというのを意識していた」
残り時間も気にせずプレーに集中
菅野の治療もあってアディショナルタイムは9分間の表示だったが、「実は何分かというのが分からないままプレーしていて。時間とかを気にせず、目の前のことに集中しようと思って」と試合に全力を注いだ。ホームでの白星を狙う町田がゴール前に何度もボールを放り込んできたが、児玉は落ち着いて対応。最後までゴールを割らせることなく、試合終了のホイッスルを聞いた。
「前回、自分が出た横浜M戦で6失点してしまったので、ゴールを守ることを第一に考えた」と今月4日のルヴァン杯アウェー横浜M戦で味わった悔しさを晴らしてみせた。
残留できるかで選手の価値は変わる
アクシデントに対応した2人を含め、チーム全員でクリーンシートを成し遂げた。「押し込まれていたので、我慢して勝ち点1を取れたのはポジティブに捉えていい」と深井。それでも置かれている状況の厳しさは認識している。「このクラブは下に落ちることの難しさを分かっている。だからこそJ1に居続ける意味というのをしっかり感じたいし、若い選手にとってはここからJ2に落ちるのか、J1に居続けられるのかで、選手の価値が変わってくるので、そのために力を注いでいきたい」。
残り7試合となったリーグ戦。行く先にJ1残留が待っていることを信じ、赤黒戦士たちは最後まで戦い抜く。