コンサドーレ
《こぼれ球》戦い続けた90分間
21日のアウェー町田戦(1△1)。町田GIONスタジアムのベンチは幅が狭くて全員が入りきれないため、北海道コンサドーレ札幌の一部の控え選手はベンチの横に置かれたパイプ椅子に座って戦況を見つめていた。町田GIONスタジアムの記者席はちょうど札幌ベンチの背後に設けられていたのだが、試合の状況と共に目を引いたのが、パイプ椅子に座っていたうちの1人であるGK児玉潤の動向だった。
とにかくよく動いていた。頻繁に椅子から立ち上がってピッチ内のチームメートたちに声をかけたり、タッチライン際まで水を飲みに来たDF馬場晴也に直接話しかけてアドバイスを送ったりと、少しでもチームの力になろうという姿勢を見せ続けた。
そして試合終了間際にGK菅野孝憲が負傷した際には、赤池GKコーチと共に、即座にウオーミングアップを開始し、緊急事態に備えた。スクランブル出場となったが、「(出番が)来たか、というのが率直な感想」と声がかかった際の心境を口にしたとおり、臆することなくプレーし、菅野から引き継いだ完封リレーを見事に完遂。記録上は後半42分からのプレーだったが、開始当初からピッチ上の仲間たちと共に戦う姿勢を見せ続けていたことが、試合へのスムーズな入りを果たせた要因のひとつではないかと個人的には考えている。
プロキャリア5年目でついに果たしたJ1初出場。日々の練習から自らのプレーを撮影してチェックすることを欠かさないストイックなGKが、この経験をきっかけにどのような成長を遂げていくのか、今後も注目していきたい。