〝史上最弱世代〟北照が九回逆転発進 スタンドから熱い演奏で鼓舞したブラバンメンバーとは【秋季小樽支部】
■秋季全道高校野球小樽支部予選(9月22日、小樽市営桜ケ丘球場)
▽1回戦 北照5-4小樽双葉
今夏の南北海道大会4強の北照が、小樽双葉に逆転勝ちした。五回まで0-4と劣勢だったが、1点差で迎えた九回1死二、三塁から犠飛で同点に追い付くと、八回守備から出場した5番・木田武杜(たけと)一塁手(2年)が公式戦初打席で初球をとらえ、これが決勝の左越え適時二塁打となり初戦を突破した。
決勝打は木田の公式戦初打席初スイング
伏兵が値千金の大活躍だ。同点直後に回ってきた木田の公式戦初打席。「みんな諦めずに点を取ってくれていたので、 最後、初球から思いっきり振ろうと思ってました」と初球の高め直球をフルスイングすると、打球は左翼フェンス直撃の二塁打。「バッティングはそこまで自信なかったですけど、思いっきり振ったら越えてくれました」と声を弾ませた。
神奈川から田中先輩を追って進学
木田は神奈川の都筑中央ボーイズでプレー。1学年先輩の田中太晟投手(3年)を慕って進学。捕手以外の内野ならどこでも守れるユーティリティー性を買われ、背番号13で初のベンチ入りを果たした。2-4で迎えた八回。無死から連打で一、二塁の好機。ここで一走の小田剣心一塁手(2年)に代走が告げられ、すぐにキャッチボール。出番が訪れた。
指揮官曰く「力がないなりに一生懸命」
何とか勝利をたぐり寄せた上林弘樹監督(45)は「よく勝ったって感じ。一番弱いんじゃない? でも、きょうみたいな試合をしていけば、伸びていくのでは。一生懸命やっています、力がないなりに」。〝歴代最弱世代〟を率いて、下克上の秋に挑む。
吹奏楽部の苦境を聞き〝助っ人〟が猛練習
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この試合では引退した3年生のうち、鏡稟太郎投手ら13人がブラスバンドデビュー。バットとグラブを楽器に持ち替え、後輩たちを後押しした。昨秋、部員が少ない吹奏楽部の現状を聞いた鏡が、吹奏楽部の顧問の教師に「自分たちがやります」と助っ人を〝約束〟。「その時はちょっと冗談半分」だったはずが、1年後に実現した。正式部員2人に上林監督が厳選した13人が加わり、1カ月前からトランペットやサックス、チューバなどを多い日で1日3時間の猛練習。鏡はトランペットを担当。「最初は楽譜が読めなくて。指の番号があるんですけど、それで覚えた。全員1日ぐらいで音が出るようになったけど、音階が出るのに全員2週間ぐらいかかりました」。この試合ではオリジナルのチャンステーマ「北照サンバ」など6曲披露。選手を鼓舞した。
先輩3年生の演奏が「力になりました」
夏はスタンド組だった木田は「打席でも聞こえました。夏、自分たちが応援していた3年生が応援してくれたので、恩返しではないですけど力になりました」。勝ち進めば、卒業直前の来春のセンバツ甲子園で披露する可能性もある。木田は「自分たちはセンバツ出場を目指したい。とりあえず今日1勝できてよかった。先輩たちを甲子園に連れていきたい」。聖地で演奏デビューしてもらうためにも、秋の頂点を全力で獲りに行く。