深井の復帰でボランチのポジション争いがさらに激しくなる《河合CRC竜の眼》
11月3日のホームC大阪戦当日に開催する、北海道コンサドーレ札幌のOB会「CONSAOLDS」前座試合の出場予定選手を先日発表させていただいた。今回初出場となるのは、CONSAOLDS開催のOB戦には初参加の川合孝治、昨季限りで現役を引退した横野純貴、三上陽輔、榊翔太、そして小野伸二だ。(敬称略)
前座試合に初出場するOBのプレーに注目して
三上と榊は長く北海道を離れて現役を続けていたし、横野も最後は十勝スカイアースに所属していたが、札幌サポーターの前では久しぶりのプレーとなる。OB戦の企画意図には、かつて札幌で活躍した選手の花道を飾る舞台という意味合いもあるので、当時彼らを応援してくださっていた皆さんには、プレドのピッチ上で躍動する姿をぜひその目で見てほしい。
そして伸二にとっては、現役ラストゲームとなった昨年12月の浦和戦以来、約1年ぶりに北海道でプレーする姿を皆さんに披露する場となる。J1残留に向けて重要な試合となりそうなC大阪戦。我々OB会のメンバーも熱い試合で会場の雰囲気を盛り上げて、クラブの後押しができればと思っている。
よくぞ耐えた町田戦 ドローはポジティブな結果
21日のアウェー町田戦は0-0のスコアレスドローとなったが、首位を争う強敵相手に引き分けはポジティブな結果だったのではないだろうか。危ないシーンは何度もつくられ、防戦に回る場面もあったが、粘り強く戦うことができ、よくぞ耐えてくれたという印象を持った試合だった。
この日の札幌の守備は、普段のマンツーマンディフェンスではなく、4-4-2でブロックを敷いて守るような形を採用。町田はFW呉世勳(オ・セフン)をターゲットにしていたが、194センチの長身を誇る相手をDF岡村が完勝と言えるぐらいに封じ込めていたし、そのセカンドボールも札幌が拾えていたので、二次攻撃、三次攻撃と町田に押し込まれる場面も少なかった。
4-4-2の守備体系はまった
普段通りにマンツーマンで臨んでいれば、ボランチが前線までプレッシャーを掛けに行くため、ボランチとCBとの間のスペースがかなり空いている上に、選手の矢印が前方向に向いている分、逆方向の矢印となるセカンドボールを回収することは難しかっただろう。ブロックを敷いて守ったからこそ、あらゆる場所に札幌の選手がいてセカンドボールが拾えたし、前から奪いに行かない分、選手たちも体力を温存できたことが、最後まで粘り切れた要因ではないか。守備の面では対策がはまっていたと言えるだろう。
DF中村、ミンギュともにいいパフォーマンス
守備陣では、岡村と共にCBの位置に入ったDF中村も、守備面での貢献はもちろん、ボールを前線に持ち運ぶという彼のストロングポイントを随所に出せていたし、左SB気味の位置でプレーしていたDFパクミンギュのカバーも効いており、いいパフォーマンスを見せていた。
攻撃面では決してチャンスは多くなかったが、前半29分にMF宮澤がダイレクトで右サイドのMF近藤に入れたシーンは、非常に素晴らしいコンビネーションを見せることができていた。最後はクロスを選択して相手GKに阻まれたが、京都戦でもああいう展開がワンタッチで入ってくるとチャンスが広がると思うので、今度はぜひシュートまでいってほしい。
途中出場の深井 チームに良いリズムの変化もたらした
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前半終了間際に負傷した宮澤に代わって、後半6分からMF深井が今季リーグ戦初出場したが、この日のパフォーマンスは素晴らしいものだったと思う。宮澤同様、ゲームをつくれる選手だし、短い距離感でのパスワークにたけているので、周りが上がる時間を与えてくれる。彼が入ってくれたことで、チームに良いリズムの変化をもたらしてくれたと感じた。
この日はMF荒野、DF大﨑と、レギュラークラスのボランチが2人出場停止だったが、深井の復帰によって、ボランチのポジション争いがさらに激しくなるはず。チームにとって非常にポジティブな材料となった。
GK児玉がきっちりゼロで締めた
そして試合終了間際にはGK菅野も負傷交代となったが、代わりに入ったGK児玉がきっちりとゼロで試合を締めてくれた。プレー時間が短かったので、パフォーマンスを発揮しきれたかというとそうではなかったと思うが、J1デビューを飾れたというのは、彼の努力のたまものだろう。
今年のシーズン当初はJ3でプレーしていた選手。特殊なポジションゆえ、出場機会に恵まれないGKはJリーグにもたくさんいるが、児玉のシンデレラストーリーは他の選手にとっても励みになるはずだ。本当にストイックで努力家だし、周囲にも良い影響を与えてくれる選手。彼のような人が頑張ってくれるのは、見ている方からしても勇気づけられる、そんなデビュー戦だった。
気の緩みが失点につながること肝に銘じて
手に入れた勝ち点は1だったが、0と1では大きな違いなので、首位相手に引き分けたのは、チームとして自信を持っていい。ただ最後の町田のCKの場面でヘディングシュートをポストに当てられたが、近藤がマークを外してしまっていた。ちょっとの気の緩みが失点につながってしまうことを全員で再認識し、今後の戦いに臨んでほしい。
次節は京都を迎えてのホームゲーム(28日、プレド)となる。降格圏のボーダーラインを一歩抜け出した感はあるものの、ここで札幌が勝てば再び京都も残留争いに引きずり込むことができる。6ポイントゲームだという意識を持って、勝利だけを求めて戦ってほしい。
エリアスを岡村がどう止めるか
脅威となるのは、4試合連続ゴール中のFWエリアスだ。彼の活躍で京都を一気に押し上げたと言えるぐらい大当たりの補強となった。スピード、フィジカル共に優れているが、それ以上にチームのために全力でプレーする姿勢を見せており、非常に嫌な相手だ。それだけに岡村がエリアスをどう止めるかがこの試合のキーポイントとなる。
そして対戦相手としてGK具聖潤(ク・ソンユン)が初めてプレドに乗り込んでくる。私も現役時代に一緒にプレーした仲で、彼の札幌愛の強さを知っているだけに複雑な心境ではあるが、J1残留のためにも彼の牙城を崩してほしい。
湘南と勝ち点3差まで詰めてほしい
リーグ戦残り7試合で残留圏17位・湘南との勝ち点は6差となったため、次節の対戦結果によってはいよいよ3点差まで詰められる可能性がある。3点差まで来たら1試合で並ぶことができるので、プレーする選手にとっても気分が全く違うものになる。そこまで差を詰めて10月からの戦いに臨めることに期待したい。
町田戦ではアウェーにもかかわらず、多くのサポーターが会場に詰めかけて本当に素晴らしい雰囲気をつくってくれた。サポーターのおかげで勝ち点1を拾えたというのも事実だと思うので、ホームで行われる京都戦でも、選手たちが全力で戦える環境をつくっていただけたらと思っている。
サポーターズデー 笑顔で来場してもらえるように
京都戦翌日の29日には「2024サポーターズデーin宮の沢白い恋人サッカー場」も行われる。残念ながら私は参加できないが、サポーターの皆さんに笑顔で来場してもらえるような良い結果になっていることを願いたい。