鍵谷陽平が有終の美 愛妻の優衣さんも涙 これからも二人三脚で 一時は「まだ、早いんじゃない」と引退に待ったも
■パ・リーグ22回戦 楽天3ー1日本ハム(9月25日、エスコンフィールド北海道)
夫人が語った道産子右腕への思い
今季限りでの引退を表明している日本ハムの鍵谷陽平投手(34)が25日、楽天戦(エスコンフィールド北海道)に先発し、現役ラスト登板に臨んだ。打者2人を二ゴロ、遊直に抑え、有終の美を飾った。
2021年に結婚し、二人三脚で歩んできた優衣夫人(32)が、道新スポーツデジタルの取材に応じ、今の思いを語った。
祈るように見つめたマウンド 「ドキドキ、そわそわです」
本拠地のマウンドに立つ鍵谷を、優衣夫人は両手を組み、祈るように見つめていた。
「久しぶりの1軍マウンドなので、ドキドキ、そわそわです。信じて応援するしかないです」。その思いが通じたのか、完璧なピッチングだった。
止められなかった涙 セレモニーに感動
試合後のセレモニーでは、花束贈呈役として登場した。
「(鍵谷は)泣いたりしないんじゃないですか。私の方が(顔が)ぐしゃぐしゃになりそう」。道産子右腕の人柄を物語る温かいセレモニーに、大きな瞳から涙がこぼれた。
決断を伝えられたのは発表1週間前
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引退を決断したと伝えられたのは、発表の1週間ほど前のことだった。「去年、ジャイアンツで戦力外があったので、終わりは絶対あると覚悟はしていたつもりでした」。ユニホームを脱ぐ日が来ることは分かっていたが、すぐに受け入れられなかった。
「その時は何も声をかけてあげることができなくて。自分で決めたことなら応援するし、って感じでした」
一度は説得も… 「惜しまれて終わるのも、かっこいいね」
昨オフに育成契約で古巣に復帰し、7月下旬に支配下登録された。ファームでは20試合に登板し、防御率0.78。トレーニング方法を試行錯誤し、レベルアップに励む姿を間近で見てきた。
「まだ、引退は早いんじゃない。考え直してみたら」と説得を試みたが、本人の意思は固かった。強い決意を感じ「惜しまれて終わるのも、かっこいいね」と受け入れることができた。
鎌ケ谷ラスト登板も生観戦
2軍本拠地・鎌ケ谷でのラスト登板となった20日の2軍西武戦は、現地で観戦した。
「登場曲がかかった瞬間にこみ上げてきて。ジャイアンツ行く前に、(中島)卓さんと投げる前のルーティンをやると落ち着くと言っていたのに、それを見た時にもウルっと来ました」
こみあげるものがあったが、鍵谷はスッキリした顔をしていたという。「終わってから本人がすごい晴れやかな表情をしていて、野球を楽しんでいる感じが伝わってきました」
献身的にサポート アスリートフードを猛勉強
元俳優で、料理教室を主宰する優衣夫人は、鍵谷がベストな状態で試合に臨めるよう、あらゆる面で献身的なサポートをしてきた。本やSNSでアスリートフードについて猛勉強。シーズン中は、グルテンフリー生活を送るなど、登板予定、練習メニューに応じて、栄養たっぷりの食事を作ってきた。
ともにスタートさせる第2の人生 「一緒に頑張りたい」
鍵谷が第2の人生をスタートするのと時を同じくして、優衣夫人は東京都内でケータリング、デリ専門店「aoya」をオープンさせる。「だいぶ生活がガラっと変わると思います。お互い一緒に頑張りたいです」
互いを信頼し合う最高のバッテリー
今後は、右腕が台所に立つ機会が増えるかもしれない。「最近は料理にハマっていて、休日になると角煮を作ります。下ゆでを2、3時間してから、ちゃんと味付けをしています。すごいトロトロ。角煮とチーズタッカルビは得意料理なので。頼れますね」
これからも2人で支え合っていく。