《岩本勉のガン流F論》引退セレモニーで清原和博から受け取った感動のプレゼント
■パ・リーグ22回戦 楽天3ー1日本ハム(9月25日、エスコンフィールド北海道)
若い投手へマウンドから最高のメッセージ
万感渾身とは、まさにこのことだ。鍵谷が野球選手人生の集大成を見せてくれた。これ以上ないぐらいに腕を振って投げた9球。気持ちの乗ったボールに2打者はいずれもドン詰まった。やっぱりこれだよね―。後手に回らず、ベースの上でいかに勝負し、仕留めるか。2つのアウトで若いピッチャーに大きく価値のあるメッセージを届けた。また、クライマックスシリーズ進出決定を間近にしているチーム。水を差すわけにもいかない。一番の使命をプレッシャーとともに乗り越えたのは、さすがだった。
こだわりを持っていたハイボール
彼は球の勢いで勝負したい投手であり「ハイボールピッチャー」だった。一見、上ずっているような球を投げる時があった。聞いたことがある。「上ずったボールに対する修正ポイントは?」と。返ってきた言葉は「いえ、ありません」。その答えで理解した。そこにこだわりを持っていたのだと。
言葉をかけるなら「おめでとう」
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「お疲れさま」ではなく、「おめでとう」と言いたい。私事だが、2006年の3月に2度、引退セレモニーを催してもらった。いずれもオープン戦で、1度目はロッテ戦に先発させてもらい、1番の堀幸一さん1人と対戦した。2度目は東京ドームでのオリックス戦で、始球式をさせてもらった。当時、オリックスにいた吉井さんにあいさつすると、「ガンちゃん、お疲れ。いや、おめでとうや」と言われた。おめでとうと言ってもらえる野球選手人生。こんな幸せなことはない。そう思った。だから贈りたい。鍵谷よ、おめでとう。
全力で向き合ってくれた清原和博
そのオリックス戦。忘れられないシーンがもう1つあった。吉井さんと同じくオリックスにいた清原さんにもあいさつした。すると、「始球式で打席に立つ人は決まってるのか? 決まってないなら、俺が立ってやろう」と申し出てくれた。ちゃんとバッティンググローブを着け、滑り止めもし、ヘルメットもかぶって打席に入ってくれた。そして思いっきりのスイング。最後にフルスイングのプレゼントをいただいた。〝対戦〟の後には、手袋を取って力強く握手もしていただいた。
忘れられない宝物
同じ大阪出身。野球人・清原和博はスターだった。あのシーンは今でも脳裏に焼き付いているし、私の宝物だ。