《岩本勉のガン流F論》携帯電話を握りしめて通った札幌ドーム 秋こそ意地を見せる時
■パ・リーグ24回戦 ソフトバンク6ー7日本ハム(9月28日、エスコンフィールド北海道)
勝って決めたいリーグ2位 見事だった逆転サヨナラ
大きな価値ある勝利だった。他球場で楽天がいち早く負けたことで、日本ハムの2位は確定していた。その情報はチームに伝わっていたはずだ。ただ、勝って決めたい。九回裏、マウンド上の岩井が1死を取った。そこから、その気になっている若手ピッチャーを相手に追い付き、仕留めきったのは見事だった。
劇的勝利の流れをつくった山本拓のピッチング
この劇的勝利の原動力になったのは山本拓だ。5―2の八回に池田が4点を奪われて試合をひっくり返された。今まで何度もチームを救ってきた池ちゃん。こういう日もある。だが、展開としては沈んだ空気が球場を包み込んだ。そこで山本拓が2死三塁と続いたピンチを切り抜け、続く九回も3者凡退。勝利への可能性を再び抱かせてくれた。
すべての選手にチャンスがあるポストシーズン
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エスコンフィールドで迎えるクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ。勝ち続けることで、ファイナルステージ、日本シリーズと続く。そしてまだレギュラーシーズンも残っている。
この秋こそ、意地を見せる時だ。今、1軍で出場機会を与えられていない選手ほど、気持ちを見せてもらいたい。
かなわなかったプレーオフでの登板
キャリア晩年の2004年。私は6月9日のダイエー戦を最後に1軍マウンドから遠ざかった。そしてチームはプレーオフ進出を決めた。私はイースタン・リーグが終了するや毎日、電話を握りしめながら札幌ドームに通った。1軍から声がかかるのを待ちながら、歯を食いしばって汗を流し続けた。プレーオフの第2戦、3戦から逆算し、肩をつくった。
誰かが見てくれている。なんとかチームに貢献したい。その思いからだった。だが、チャンスが訪れることはなく、チームもファーストステージで西武に敗れた。
存在感を見せつけた松本剛、細川、古川
悔しかった。これほど悔しかったことはない。だからこそ、今の選手は悔いを残してほしくない。
この日の試合でも意地を見せた選手は多かった。スタメンを外れた松本剛が九回1死一塁で左前打を放ち、チャンスを広げた。久しぶりに先発出場した細川も1安打1打点2出塁と気をはいた。古川もヒットこそなかったが、打ち気にはやる気持ちを抑え、六回の第3打席で四球を選んだ。現在2軍にいる選手にだって当然、チャンスはある。
待ち望むアピール合戦
プロ野球のオータムフェスト! 皆、「俺を出せ!」「俺を起用しろ!」とアピールしてや! まだまだ挽回のチャンスはある。執念を持って日々、臨んでもらいたい。