コンサドーレ
2021/12/06 14:31

≪検証2021㊤≫ エース引き抜きを若手がカバー

チームが苦しい時期に結果を出したFW小柏(左)

 北海道コンサドーレ札幌は2021年シーズンを14勝9分15敗、勝ち点51の10位でフィニッシュした。名将ミハイロ・ペトロビッチ監督(64)が率いて4年目となった今季。エースの移籍、主力の離脱を成長著しい若手がカバーし、下位4チームがJ2に降格するイレギュラーな1年を乗り切った。収穫と浮かび上がった課題。2回に分けて振り返る。

武蔵、ロペスが立て続けに移籍

 札幌は2年連続、夏の移籍市場でエースストライカーを引き抜かれた。昨季はFW鈴木武蔵が欧州での挑戦を決断。今季は移籍前までリーグトップの12得点を挙げていたFWアンデルソン・ロペスを失った。ペトロビッチ監督は「リーグで最も危険なストライカーを2年連続で引き抜かれた。非常に難しい状況だった」と嘆いた。
 いずれも満足のいく補強はできなかった。今夏、唯一補強したFWトゥチッチは伸びしろも期待しての若手。戦術への順応に時間を要し、ブラジル人助っ人の穴埋めにはならなかった。
 三上大勝GM(50)は「現有戦力で1桁順位は十分、狙えると判断した」。Aロペスが残した移籍金で即戦力を補強するという選択はしなかった。コロナ禍による厳しい経営状況も考慮したという。自由に海外渡航がかなわないことも、直接の視察を重要視する札幌にとってはマイナスとなった。
 戦力ダウンがありながらも昨季と違うのは、エースが引き抜かれても失速しなかったこと。昨季は夏場に9戦勝ちなし。鈴木の移籍を嘆かざるを得ない状況に陥った。
 一方、今季はAロペスの抹消以降もFW小柏らが奮闘。MF青木も出番を増やした夏場に結果を出し、株を上げた。8月には浦和、FC東京に連勝。最も勢いを感じた時期にAロペスは既にいなかった。三上GMは「サイドの選手が点を取れるようになったことが大きい」と評価した。
 若手有望株を積極的にピッチへと送り出す札幌にとって、今後も主力がシーズン途中に“ステップアップ”することは想定される。だが、戦力ダウンに動じないチーム力が着実についてきている。
(石栗賢)

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