Vリーグ男子〝イエスタ〟運営会社が開幕直前にM&A発表 新オーナーは札幌発祥の年商120億円グループ
親会社が武ダGEADに
プロバレーボールクラブのVリーグ男子・北海道イエロースターズを運営する株式会社イエロースターズは10月1日に札幌市内で会見を行い、札幌発祥で経営コンサルタントなどを展開する武ダGEAD株式会社が約60%の株式を取得し、9月24日付で新たなオーナーとなったことを発表した。すでにリーグへの手続きも終えており、今後は新体制の下、今月19日に開幕するVリーグ優勝と、将来のSVリーグ参入を目指していく。
日本ハム、レバンガなどのスポンサー
同社はこれまでにもプロ野球・北海道日本ハムファイターズや、B1・レバンガ北海道、独立リーグ・石狩レッドフェニックスのスポンサーとしてスポーツ振興に寄与してきたが、今回は初めてクラブ運営に乗り出す。
武田会長「長年の悲願。私たちの持つノウハウを生かして…」
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同社の代表取締役社長で、新オーナーの武田幹郎会長(49)は会見で「スポーツチームのオーナーになることは長年の悲願であり、今回この夢が実現したことに非常にワクワクしております。バレーボールというスポーツには、計り知れない可能性がある。スポーツは筋書きのないドラマであり、選手たちの全力のプレーが、多くの人々に感動と希望を与えることができる。北海道イエロースターズもそのようなチームであり続け、さらにその魅力を発信していきたい。私たちの持つ経営のノウハウをフルに生かし、選手やスタッフがこれまで以上に活躍できる場をつくりたい」と意気込みを語った。
9月4日には東京で行われたプレシーズンマッチを観戦し、「やっぱ迫力っていうのはすごいですね。現地で見るライブ感は。バレーボールの虜になりました」と振り返った。
成長を見据えて二人の代表は退任
2020年に運営会社を発足した三木智弘代表取締役(28)と、22年から共同代表を務める平野龍一代表取締役(43)は退任する。
三木代表取締役は、SVリーグ創設によってこれまでよりチームの経営基盤の安定が求められることが最大の理由とした上で「北海道を愛する地元企業にオーナーになっていただくことが、今回ベストと考え、このような決断をしました。経営のプロ集団であり、地元北海道を愛し、そして企業としても短期間で急成長を遂げている。こうした全てが北海道イエロースターズの今後の成長にとってとても必要なものだと実感し、武ダGEAD株式会社さんとであれば、北海道イエロースターズが北海道を代表する、そして日本を代表する圧倒的なスターチームになれると確信し、今回、武田さんに経営を託すことになりました」と説明した。今春から交渉が本格的にスタートし、8月に基本合意に達したという。
北海道に活力もたらすことが目標
武ダGEADは2014年に発足。経営コンサルタントや、建設業、認可保育園など、グループ全体での売り上げは120億円を超える。現在のチームにいる監督以下選手、スタッフに加え、同社からは20人程度の人材を送り込み、運営強化に携わる予定だ。
武田会長は「選手の育成やトレーニング環境の改善、さらにはチームとしての魅力を高めるための取り組みを検討、実行していきたい。これにより、チームのパフォーマンスが向上しますし、そして地域全体に対して大きな影響を与えることを目指してまいります。北海道という地域には特別な思いがあり、北海道イエロースターズを通じて、この地域に賑わいや活力をもたらすことが私たちの大きな目標です」と今後のビジョンを掲げる。
得意分野を生かし育成型クラブへ
将来のSVリーグ参入へ、今後は選手強化も急務となる。「補強もそうなんですけど、若い選手を育て、一人前にしたい思いが強い。人を育てるのには自信がある会社なんですよ。まっさらな新卒の子たちを一人前の経営者にすることが私たちの主業務でもあるので、イエスタの選手たちも、成績ある人間たちを(外部から)引っ張るよりも、ゼロから育て上げて強いチームにしたい」と育成型のクラブを目指す。
将来の日本代表選手が出てきたら
すでに同社が経営する道内7カ所の認可保育園とのコラボもイメージしている。「子供たちとスポーツって親和性がすごく高い。0歳児から預かってるので、バレーボール、球技を通して、将来のプロのバレー部の選手になる可能性がある。うちのキッズパークから将来、日本代表のバレーボール選手が出たら、これはもう感無量ですよね」。壮大な夢を抱いて、新たなスター選手輩出へ歩みを進めていく。
■今季から主将を務めるOH郡浩也(28)
「すごくびっくりして、僕も他の選手もみんな、目が点になってました。より良い方向になるっていうのは僕たちみんな信じていますし、もっと待遇が良くなるんだとか、練習環境が良くなるんだって前向きなことをみんなが言っていた。先月に行われた天皇杯予選で、SVリーグの格上であるヴォレアスさんを倒しましたし、すごくチームは今、自信があって勢いもあります。なので、これから始まるリーグがすごい楽しみ。オポジットの2人が来てくれ、今年はバレーボールが変わりました。今季の目標は新Vリーグで優勝することです」