プロ初勝利を挙げた達孝太 金子千尋2軍投手コーチが証言 高卒3年目の右腕の凄さとは
1年目は選手として 今季は指導者として
日本ハムの達孝太投手(20)が3日、ZOZOマリンで行われたロッテ戦に先発し、5回3安打無失点でプロ初勝利を挙げた。1年目は選手として共にプレーし、今季は指導者として近くで見守ってきた金子千尋2軍投手コーチ(40)が、高卒3年目右腕のすごさを語った。
「並みの高卒ルーキーじゃないな」
入団当初から、背番号16のことは一目置いてきた。金子コーチが得意とするチェンジアップの習得を目指していた達は、独学で試投をしてから、質問してきた。「知識がない中で聞くんじゃなくて、ある程度自分の中にしっかり入れてから質問するのはすごいなと。その辺が並みの高卒ルーキーじゃないなって当時から思っていました」。
22年シーズン限りで引退し、指導者に転身。コーチとなった今は、自分で考え、行動する姿を間近で見てきた。「自分のやるべき事をしっかりやっている。先を見据えて、できるタイプなので。練習内容も行き当たりばったりじゃない。それはすごいなと。高卒3年目でそれができるのは」と感心する。
2軍でローテの一角担い投球内容に進化
3年目の今季は2軍で先発ローテーションの一角を担い、19試合に投げて6勝3敗、防御率3.72。ピッチングの内容も進化した。「打たれた時もありましたけど、自分の状態が結果に、いい意味で直結しなくなった。良かったらいい、状態が悪かったら結果も悪いじゃなくて、悪い時なりに何かできるようになりましたね」。
投球の幅が広がり「以前より…」
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投球の幅が広がったことが大きい。「一つの変化球にしても、去年とかはカーブ、フォークだけとか。でも、今年はそこにスライダー、カットボール、チェンジアップも投げ始めた。良いときに抑えるのは当たり前。その日に何とかなる球を見つけるのが大事だと思います」。投げるスタミナもつき、「球数もしっかり投げ続けられている。投げる体力もしっかりついてきました。以前より(試合後半に)スピードが落ちていく推移が緩やかになってきました」と証言する。
解剖学を勉強して知識豊富「話が通じる」
登板前後に行うミーティング。解剖学を勉強するなど知識が豊富な達とは、スムーズに会話ができるという。「アナリストのデータとかバイオメカニクスの動作解析の結果を踏まえて、僕も個人的にここがこうじゃない、というときに達君は理解してくれる。そういうデータだったり、体の知識、筋肉一つの名前を言ったところで、分からない選手もいっぱいいると思う。なので、僕的には分かりやすく言わなくても、(話が)通じるので楽です」。
沢村賞右腕が一目置く〝探究心〟〝好奇心〟
金子コーチはオリックス時代の2014年に沢村賞のタイトルを獲得。球界屈指の変化球の使い手として、さまざまな練習法を取り入れ、己を磨き続けてきた。「僕もそれなりに知っている方だと思うんですけど、それよりも達君の方が研究心、好奇心がすごいと思います。単純に体とか練習の知識が人よりもある。頑張って練習している感覚がたぶんないと思う。それが日常、当たりに前になっていると思います」。メジャー志望の20歳は、レジェンド右腕も認める探究心を持っていた。