【一問一答】新庄監督のレギュラーシーズン総括 選手のこと、SNSでのやりとり、そして将来のこと
日本ハムの新庄剛志監督(52)がリーグ2位と躍進を遂げた指揮3年目の2024年レギュラーシーズンを振り返った。時に堅実、時に想像もつかない采配でチームを勝利に導いた。パ・リーグのライバル5球団に負け越しなしと堂々の戦いぶりを披露。チームとしては6年ぶり、新庄体制で初のポストシーズン進出も決めた。指揮1、2年目にまいた種が確実に芽吹いた今季。一問一答は以下の通り。
ー就任3年目、レギュラーシーズンは2位が確定。今季を振り返って
「1位を取れなかったのは、本当に悔しいです。2位も3位も…4位は違うかな(笑)。2位も3位も一緒ですけど、優勝させたかったですね。それは本当に正直な気持ち。でも、今年の最初に(設定した)最低でもクライマックスに出場するという目標はかなえられたかなと思います」
ーその中で一番、チームが成長した点は
「一番のポイントはけが。けが人を増やさずに、いろんな選手を起用して休ませながら、いけたっていうのは、めちゃくちゃデカいですね。やっぱり固定して戦って、その固定メンバーがけがしてしまってズルズルいくのをすごく気にしていたので。けが人が出ないことで2位にたどり着けた」
ー野手では春先に田宮、交流戦で水谷、後半戦は清宮、レイエス。その都度、ヒーローが生まれた
「ヒーローを生まれさせたんです。ハハハ(笑)。練習の姿や試合の結果は別にして、いくら結果を出したとしても奮い立たせる方法というか。それはものすごく意識した。打っても次の日、外して。また打てば試合に出られるという。あとは一日一日、その選手の表情とか走り方とか、ちょっと違和感がありそうだなと思ったら休ませて。それがうまくいきましたね、今年に関しては」
ー投手陣は伊藤を筆頭に2桁勝利が3人。中継ぎ投手も充実していた
「それに関しては、もうピッチングコーチのおかげですよ。僕はピッチャーしたことないので。モチベーションや疲れ具合とか。一人の選手が疲れたら『ちょっと一回、落としませんか』と。そこで一回、リフレッシュさせて。そのやりくりはピッチングコーチがしてくれた。感謝しかないです」
ー福島や柳川ら若い投手も出てきた
「今年、緊張したというか…。柳川くんを抑えに起用した時は、震えながら見てましたね。(田中)正義くんがちょっと調子落ちて、柳川くんというプランがあった。大事な試合で、あの時は楽天戦でしたよね。あそこは(球審に震えた声で)『いやあながわくん』って言いましたね。それくらい緊張しました。そこで抑えてくれた。そこから8セーブか。パパパンっていってくれた」
ー今季、ターニングポイントとなった試合は
「むちゃくちゃありすぎて、分からないです。交流戦(の直後)で一回、5位まで落ちましたよね。そこで『どうなるんだろう、ここから。またズルズルいくのか』っていうところで、また貯金が10ぐらいまで、あっという間にいったじゃないですか。あそこはもう『よくやった』『ありがとう、選手たち』と。あそこがターニングポイントですね。だって、みんなズルズルっといくと思ったでしょ。みんな(報道陣も)思ったと思うんですよ。だって、僕が思ったんだから(笑)。よう巻き返したなって。それが成長ですよね。(貯金1からの)ロッテ戦の3連勝もデカかったですね。あそこから勢い付いてバーンっていったんで。あとはマルティネスが開幕してから全然、調子が上がってこなくて、それでも使い続けた。グワチョが4番として活躍しだして、勢いを付けてくれて、そこで清宮くん、レイエスが活躍をしてくれて、ここまで引っ張ってくれたというのは大きいですね。あとピッチャーに関しては伊藤くん。本人とは15勝が最低ライン。取りにいくよということは伝えていた。伊藤くんの頭の中では、もう日本シリーズに行くことしか考えていないと思う。自分の勝ちよりも」
ー現役時代に日本一となった2006年のファイターズと比較して
「僕、選手時代はクライマックスシリーズでどう勝ったか、日本シリーズでどう勝ったかも、ほぼ覚えていないですね。今年どういう戦い方をするか分からないけど、最初のロッテさん、そしてソフトバンクさん。そこはもう飛び越えているんですよね。僕の頭の中で。日本シリーズをエスコンフィールドでするっていうことしか頭にないので。日本シリーズに行くんだっていう気持ちしかない。飛びすぎ?(笑)」
ー3年前の監督就任時、スタープレーヤーを7人つくると話した。今年で何人がスターになったか
「11人くらいですかね。スタープレーヤーっていうか、スターになれる要素を持っている。今、段階を踏んでいっている選手が11人くらいいますね。だいたい分かるでしょ。指で数えたら」
ーまだ段階を踏んでいるのか
「オールスターに一応10人選ばれたでしょ。水野くんはけがでちょっと出られなかったですけど。それを省いても柳川くん、福島くんとかもスターになれる素質は十分あるので。そこからは本人次第で変わってくると思うから。こんなに現れるとは思っていなかったんですけど…7人でいいのに(笑)。ハハハ。そんなに増やしてもらっても困るので」
ー監督の思いに選手たちが応えてくれた
「あとはSNSのやりとりかな。それは本当に大きなポイントだったと思います。会話の内容は言えないけど」
ー選手とのSNSを通じたコミュニケーションは監督就任以来ずっと取り組んで来た
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「ずっと、やってます。育成の選手から1軍のメンバーまで。3人ぐらい(SNSを)やってない選手がいるんで、その選手とはやりとりはできない(笑)。LINEはしないんですよね、僕。インスタだけで。Xはしない。こだわってないけど、なんかやりたくない。Xは孫(孫正義)さんしか、フォローしてないかな。ハハハ。僕は、すごい尊敬してるので」
ーメッセージでは数字の目標や、ホームランを何本打ったら1軍に上げる―などを伝えているのか
「あとは給料、お金」
ーやる気にさせるように
「これぐらい活躍したら、これぐらい上がる計画を立ててやっていこう、と。こっち(1軍)で活躍できなかった選手に対して、鎌ケ谷に行った時のアドバイス。これぐらいクリアしたら、もう一回、戻すよって。あと7本打ったら戻すから、6本打った時点で俺に6本打ちましたよって(メッセージを)ちょうだいって。段取りを組んで、マネジャーに言う。そしたら2、3日で打ったりする(笑)。2日で打つ選手もいたからね。フォアボール選ばずに、積極的に初球からガンガン打つっていうのは、ものすごくいいですね。こっちも段取りがあるので、いや、打ち過ぎじゃね?って(笑)。だから12本に設定したりとかね。清宮くんには15本って言って、めちゃくちゃ早く打ちました。セーフティーをしてる選手いましたね。その気持ちが大事ですよ。ピッチャーだと、テンポを上げさせたり、タイミングを狂わせたり。それをしてくれたら(1軍に)上げるよ、みたいな話もしました」
ー1軍の選手には
「夜に送って、球場へ来て答え合わせする。育成の選手は会えないので、こうした方が早く1軍に上がれるよとか、きのうのホームランは気持ち良かった?とか。有薗くんにはエスコンでホームランを打って、いい打ち方したねってやりとりはしていましたね。やっぱり全員をスターにしたいので。それがやっぱり、層の厚さにもつながってくるし。監督が、僕も見てくれているんだっていうところは、僕たちの時代はなかったから。そんなメッセージが来たら張り切る、張り切る。質問してくる選手にはしっかり答える。タイミングの取り方や、人間的にこうなりなさいとか」
ーやりとりに時間を取られるのでは
「セ・リーグの野球も見ないといけないし、ファームも見ないといけないし、ドラフトで誰を取りたいとか、社会人も見ないといけない。僕の尊敬している大阪桐蔭の監督の作戦も見ないといけないし(笑)」
ー西谷監督のこと
「はい。すごくないですか? 高校生ができるんだったら、プロ野球選手もできるでしょ。あとはアメリカも。こういうプレーもあるんだ、こういう走塁あるんだっていう時は、すぐにダビングして五十幡くんに送ったりしてますよ」
ーSNSでのやりとりで気を付けているポイントは
「におわせることと、批判を(自分に)持ってくる。注目を集める。選手を助ける。選手に何かあった時に僕が選手の代わりに伝えるっていうところも大事にしている。あとは僕のインスタに見に来てほしくない人は、だいたい分かるんですよ。言葉の語尾や『新庄』と呼び捨てだったり。誰々をなんで使うんだとか、なんでピッチャーをあそこで交代させるんだっていうのは即ブロックって、ず~っとやってますね(笑)。見に来なくていい、俺のページ(アカウント)なので。他にどこかへ見に行ってって。俺は、このファイターズっていうチームの宣伝広告塔なので。ファンに伝えたいだけであって、文句を言われる筋合いもない。でも、そういう批判のコメントっていうのは勉強になるんすよね。あ、なるほどって参考にする時もある。参考にさせてもらって、ブロック(笑)」
ーいいところだけをもらう
「心の中で『ありがとう』して、ブロック。こういう考えの起用法もあるんだって頭には入れときます。ムカっとは来るけど(笑)。でも、正しいからムカってくる時もあるんですよ」
ーブロックは監督自身がやるのか
「もちろん、もちろん。今はね、ちょっと(インスタの仕様が)変更して、長押しをしてブロックを押せば、消えてくれます」
ーその回数たるや…
「3年でもう5260回ぐらい押してますね(笑)。でも、そういう人たちで新しいアカウントをつくって『見たいです、ごめんなさい』っていう人はブロック解除する。映像を見ないといけないし、インスタを見ないといけないし、もう1日24時間じゃ足りないですね。でも、それぐらいしないと、やっぱ変わっていかないですよ」
ー今は記事もよく読んでいるが、現役時代は新聞を読んでいたか
「あまり文字を読むの好きじゃなかったですね。文字を読むのは得意じゃないし、漢字もあんまり。だって皆さんが書く漢字、めちゃめちゃ難しいもん」
ー監督になってから記事を見るようになった
「もちろん、もちろん。だって僕、バリにいたじゃないですか。野球のことなんか一切、入れなかったし、興味なかった。でも、やるって決めたら、とことんやる性格なので。『おまえ、大丈夫か』って違う自分に言われるぐらいやる。完全燃焼したら、もう一気に(やる気が)消えてしまうっていうところはありますね」
ー先日は今後のビジョンが見えないと言っていたが
「それは今後の戦い方次第ですね。くぅ~ってなったら、やり返したろと思ったら、また(指揮を執り続けることも)あるし」
ー完全燃焼したら…
「したら、もう責任を果たしましたってなるかもしれない。それは戦い方次第ですね」
ーファンはすごく、(来季も監督を)やってほしいと
「いや、そこはファンじゃないんですよね。そこはもう、もう僕の人生なんで。僕の好きにやらせてもらいます」
ーほかにやりたいことが山ほどあるのか
「ない。それをつくる自信はあるんですよ」
ーそれは一線を引いた後にまた考える
「そうなった場合は、まずはゆっくりリフレッシュ。リフレッシュしている間に、何気なくポンッと(アイデアが)入ってきたら、すぐそれにまた、いくので。まあまあ、今後の戦いでビジョンが決まり次第、伝えます。やっぱり一緒に3年間やってきた仲間なので。ただ、決まらないかもしれないし、僕だけのことではないじゃないですか。選手時代は僕だけのことなんで、ボンと好き勝手に言えますけど」
ーコーチ陣もいる
「そこなんですよ。そこです」
ー選手たちもどうなるんだろう?っていう気持ちを持っている
「どうでしょうね、それは。1軍じゃない選手たちは、監督が変わることによってチャンスなので、変わってくれって思っている選手もいると思う。それは思わないといけない。やっぱり新しい監督だったら、また横一線になるわけだし、チャンスは増えてきますよね。今は、日本シリーズにどうやっていくかっていうことしか考えてない」
―注目がどんどん上がっている
「ま、いいんじゃないですか、それも。注目をファイターズに集められるっていうのは。同時進行で」