《鶴岡慎也のツルのひと声》ボール1個分、細かいワンプレーが明暗を分ける短期決戦
■2024 パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストS第1戦 ロッテ2-0日本ハム(10月12日、エスコンフィールド北海道)
割り切るしかない 良すぎた佐々木朗希
これぞ短期決戦。今回ばかりはロッテの佐々木朗希にやられた。彼が良すぎた。そう割り切るしかないし、引きずる必要もない。何が良すぎたのか。キャッチャーを含めて、ボールのチョイスが実に巧みだった。直球中心の組み立てで入った。そのストレートの状態が良くないと判断すると、すぐにスライダーへと軸になるボールを切り替えた。これがハマったのだ。
相性を覆した超一流の投手
レギュラーシーズン。佐々木は日本ハムを相手に一度も勝てていなかった(0勝2敗)。だが、そこは超一流の投手。ペナントレース最終戦(10月1日の楽天戦で9回1失点完投勝利)で素晴らしい投球を見せ、しっかりと仕上げてきた。(五回無死一塁で松本剛に)バントもさせてもらえなかった。
偶然の1球が与えた影響 ロッテに傾いた流れ
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このようなギリギリの戦い。力が拮抗(きっこう)したチーム同士によるゲームでは、ボール1個分、または細かいワンプレーが明暗を分ける。言いたくはないが、運も左右する。
まず一回にいきなり、勝敗を左右しかねないプレーがあった。先頭の浅間が四球で歩き、盗塁を仕掛けたが、タッチアウトとなった。カウント1―1からの3球目。配球を読み、しっかりとフォークの時に走った。ただ、ボールがたまたま浮き、キャッチャーが一番、投げやすいところに行ってしまった。そして捕手の佐藤が確実に二盗を阻止した。
素晴らしい内容も手痛い一発に泣いた加藤貴
投げる方では加藤貴。五回に中村奨にストレートをはじき返され、先制ソロを浴びた。これは引っかけてボール1個分、内側に入ってしまったものだった。七回の一発もそうだ。ポランコへの2球目。今度はカットボールがボール1個分、曲がりきらなかった。加藤貴は素晴らしい内容だった。ただ、本人のコメントにもあったように、2点目の一本が痛かった。
状態のいい打線とリリーバー
ファイナルステージ進出へ、後がなくなった。ただ、悲観することはない。打線の状態もいい。レイエスに(ヒット)2本出た。清宮も四球を選べている。万波も2安打と好調に見える。中継ぎ陣も池田、斎藤、河野、山本拓といいボールを投げていた。
若手にとって価値ある経験
負ければ終わりの短期決戦。この経験は大きい。特にファイターズには若い選手が多い。また違った野球が見えてくる。さあ、2戦目。思いっきり緊張し、この貴重なポストシーズンを戦ってもらいたい。