コンサドーレ
≪検証2021㊦≫控え選手の底上げで戦力アップを
課題は「チャンスを決める最後の質」
ペトロビッチ監督は「今季、明らかな負けは(0―4で敗れた)アウェー鹿島戦だけ。残り14敗は、引き分けか勝利してもおかしくなかった」と振り返る。選手たちもピッチ上で同様の手応えを感じていた。勝ち点を取りこぼす“もったいない”試合が多かった。
課題は「チャンスを決めきる最後の質」と皆が口を揃えた。主導権を握り、好機は多くつくった。だが「点を取ることは才能に左右される」と指揮官が言うように、一朝一夕には解決できない。
スタメンはどの相手にも互角以上で戦えたが、選手交代で推進力が生まれにくかった。「交代はプラスを生むものでなくてはいけない」というのが指揮官の考え。コロナ禍で「5」に増えた交代枠を使い切れない試合が20試合あった。1位の川崎は38試合中32試合で5枠をフル活用。資金のあるクラブが有利なルールだが、対抗するには控え選手の底上げが必要だ。
指揮官が「フルメンバーで戦えた試合は1試合もなかった」と頭を抱えたけが人続出の状況は、主力に負担がかかりすぎているとも捉えられる。フルコートのマンツーマンディフェンスを採用するこの2年、選手の負荷は確実に上がった。交代枠をより効果的に使えれば、主力の負担を軽減できる。
札幌はDF岡村や柳らを「監督のサッカーを1年経験することで2、3年後、われわれのサッカーを体現できる選手」(三上GM)と、長期的な目線で期待を寄せて獲得した。今季の経験は来季、戦力の厚みとして還元されるはず。90分間、チームとしてのパフォーマンスを落とさなければ“もったいない”試合は確実に減っていく。(石栗賢)