宮西尚生 新庄監督の抜てきに応えるCS初セーブ ベテランが見せる後輩への温かいまなざし
■2024 パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストS第3戦 ロッテ2ー5日本ハム(10月14日、エスコンフィールド北海道)
締めはプロ17年目の鉄腕 見事に1回パーフェクト!
日本ハムの宮西尚生投手(39)が14日、3点リードの九回からマウンドへ。3者凡退で試合を締めくくり、プロ17年目でCS(クライマックスシリーズ)初セーブを挙げた。
面目躍如のピッチング 「最後に先輩が崩すのだけは」
「ここまで若い子らが成長して結果を出して、こうやってこのステージまで来たわけやから。最後に先輩が崩すのだけは、というふうな思いはあった。最後、抑えてみんなが喜んでいる姿を見た時に、本当にうれしかった」と安堵の表情を浮かべた。
新庄監督が直々にブルペンへ連絡
セーブシチュエーションでの起用は、予想していなかった。新庄監督からブルペンへ直々に連絡があったのは、八回を池田が投げきった直後だった。
「最後、若手だけじゃないぞっていうメッセージもあったと思う。延長要員か、負けているパターンかなっていう計算ではいた。まさか自分やとは思わなかったんで、びっくりって感じです」と驚いた。
意気に感じた指揮官からの無言のメッセージ
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シーズン中、新庄監督は事あるごとに「愉しんで」と声をかけてくれていた。この日、マウンドで投球練習を始めると、ベンチの指揮官と目が合った。
「いけるっていう、うなずきをもらって。すごい落ち着いたし、そういうふうなメッセージをすごい感じました」。粋な計らいに、自然とスイッチが入った。
後輩たちの成長を実感 「頑張ってる姿をずっと見ていた」
お立ち台では「やりましたー!」と絶叫。感極まって涙を流す清宮の姿を温かく見守った。
「やっぱりけがで、やらなあかんタイミングでできなかった悔しさもあるやろうし、きのうの(浅間)大基もファームで頑張ってる姿をずっと見ていた。そういうメンツがここに来て結果を出してくれてるというのは、一緒に鎌ケ谷でやった仲間としてはすごくうれしい」。チーム最年長として、後輩たちの躍動が何よりうれしい。
鎌ケ谷で深めた若手との絆
今年は開幕2軍スタート。鎌ケ谷では若い選手と交流を深め、「20代の子なんて、後輩より子どもって感じ。コイツら、かわいいな~って」と目を細めていた。6月中旬に1軍昇格すると、リリーフ陣の精神的支柱となった。
レジェンド左腕との忘れられないやりとり
後輩がヘコんでいる時は、そっと寄り添い、状況に応じてカツを入れる。今年、支配下登録された高卒3年目の柳川には、食事の席でかけてもらった忘れられない言葉がある。
9月1日の西武戦(ベルーナドーム)。2点リードの九回にクローザーとしてマウンドに上がった柳川は、2死満塁から押し出し四球を与え、交代を告げられた。続く池田が流れを止められず、チームはサヨナラ負け。試合後、インスタグラムには「フォアボールを出すな」とDMが届いたという。
救われた言葉 柳川「うれしかったです」
その姿勢を百戦錬磨の宮西は褒めてくれた。
「普通に見たら四球なんで良くないですけど、2点差での押し出しだったので、そこで甘い球を投げて打たれるよりは、フォークでワンバン、あの選択ができるのはすごいって言ってもらえた。それはうれしかったです。その時は、めっちゃしゃべりました。2人だったのでいろいろ聞いたっす」。じっくり話を聞いてもらい、気持ちが楽になった。
重ね合わせる2016年の日本一
ベテランが最後を締め、16日からのCSファイナルシリーズ進出が決定。日本一に輝いた2016年を知る男は「チームの雰囲気はすごく似てるかな。粘って粘って最後にこうガーンって。勢いづいてっていう勝ち方は本当に似てるかなって思う」と証言する。
自身の役割は「邪魔しないように。それだけ」とニヤリ。数々の修羅場をくぐり抜けてきた背番号25の存在は偉大だ。